女優がHIVに感染? 私たちが知らなければいけないのは女優の名前ではなく、正確な「知識」だ

2018年11月01日 HIV感染 アダルト業界 セクシー女優

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jyosei.jpg写真はイメージで登場する人物とは関係ありません


 本サイトも既に報じているように、10月22日にセクシー女優のHIV感染が発覚したことで、アダルト業界が揺れている。9月に感染が分かったにもかかわらず、公表が遅れたことに対する不信感などが騒ぎに拍車をかけているが、この"大騒動"は図らずも日本人のHIVに対する無関心さを露呈することにもなった。


アダルト業界騒然 「なぜ公表が遅れたのか!」 あるセクシー女優がHIV感染したと発表された...

 実のところ、日本は他の先進国が一様にHIV感染減少傾向にあるなかで、唯一と言っていいほど横ばいが続いている状態である。横ばいと言うと、現状維持ととらえることも出来るが、HIVへの啓蒙・教育が一向に進んでいないことの証左であり、潜在的には感染が増加する可能性を含んでいると言えよう。

 特に梅毒が微増とは言え増えている現状において、STD(性感染症)がHIVの伝播力を高めることを考えると、横ばいというより、いつパンデミック(感染爆発)が起きてもおかしくはない。そんななかで、なにが大切かと言えば、やはり正確な知識と現状認識だ。

 先のセクシー女優感染騒動に関して言えば、感染は感染として仕方ないとして、その後の対応が重要となってくる。現在、HIV感染者の余命を延ばすためにもっとも有効な治療法は、抗レトロウイルス療法(ART)と言われる抗HIV薬を多剤併用する方法だ。

 俗に「カクテル療法」などとも呼ばれているが、熟練した専門医が適切に多剤併用の処置をすれば、平均余命は20歳感染時で50年を超えると言われ、この処置によってほぼ寿命が全うできる。

 もっとも、長年の服用による抗HIV薬への耐性(多剤併用は耐性封じとも)や、日本の保険制度において身体障害者申請が必要な現状を考えると、まだまだ改善すべき点は少なくない。が、それでも"死の病"と呼ばれていた頃に比べれば、格段の進歩ではあることに違いはない。


いま台湾で起きている「HIV感染騒動」は決して対岸の火事ではない!

 また、HIV感染者の抗レトロウイルス療法に関しては、予防という面でも重要な意味がある。実は、この抗レトロウイルス療法を適切に行うことによって、HIVキャリアが非HIVキャリアに感染させるリスクを96%下げることが確認されたというのだ(厚労省調べ)。コンドームの予防率が85%と言われていることを考えると、その効果のほどがわかるだろう。

 さらに、暴露前予防薬と呼ばれる薬を非HIVキャリアが事前に経口服用することによって、HIV感染のリスクが下がることも各種研究で確認されている。

 つまり、今回のアダルト業界におけるセクシー女優の感染も、ただいたずらに騒ぐのではなく、業界全体で"次善策"を考えるよい機会と捉える必要があるのだ。

 厚労省のいう、「あらゆるリスク要因と接する機会のある人々には、HIVとその他の性感染症の検査を受けることが強く奨められます」は言うまでもない。これは、援デリなど脱法・違法風俗が流行る風俗業界も同様である。(取材・文◎鈴木光司)

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