『水道橋博士×町山智浩 がメッタ斬りトーク』 週刊文春が掲載を諦めた「禁断の対談」を公開!(1)

2018年03月01日 タブー トークライブ 対談 水道橋博士 町山智浩 藝人春秋 週刊文春

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 水道橋博士さんと町山智浩さんの出版記念トークライブが昨年11月末に行われました。「マリファナも銃もバカもOKの国 USA語録3 」(町山智浩著)、「藝人春秋2」(水道橋博士著。ともに文藝春秋刊)。そこでは著名人、文化人、政治家、芸能人などなどがめった斬りされるという凄まじいトークイベントになったため、「文春砲」も尻込み。そこで忖度という言葉を知らない弊サイトでトークイベントを丸ごとお届け致します。(編集部)


hakase001.jpg『対談の前のメディア取材』から


博士:水道橋博士です。まず雑誌、メディアの取材をやります。写真も撮ってください。「新しい地図」スタイルなので(笑)ご自由に。しかし、こうやって町山さんとボクがステージに上がるとすぐにテンション上がって、ふたりで舞台上でディープキスとかしちゃうからねー。気をつけないと。

町山:以前、浅草の「映画秘宝」のイベント(※2016年、したまちコメディ映画祭内で行われた俳優アントン・イェルチンの追悼上映&トークショー)で、それをやって、すごい怒られたんですよ~。

博士:ダチョウの上島くんと出川くんのような軽い気持ちでやっていたのに、急に舌まで入れてくるから。変な雰囲気になって、あれは反省しています。基本、ふたりとも「しくじり先生」ですから。
 トークショーとしては、町山さんの文庫『マリファナも銃もバカもOKの国 USA語録3』とボクの本、お互いの出版記念ということになっているんですけど、町山さんの方から『藝人春秋2』だけでやりたいということなので、本当に申し訳ないと思っていますが......。
 そのお詫びではないですが、町山さんファンのために、今回、ボクが以前、「映画秘宝まつり」で作った町山智浩年表を作り直して、新たに『〈町山智浩〉の見方がわかる年表 2017』をお客様全員に無料でお配りしています。家に持って帰って楽しんでください。
 しかし、この年表も、町山さんが迷惑だって怒ってるんですけど。


hakase002.jpg興信所ばりの「町山データ」がこれ


町山:いやでしょ~(笑)。いやですよ。勝手に調べられて。勝手に書いてるんですから、俺の詳細。あなたのこと調べましたから! これみんなに配りますから! って、興信所かよ。いやでしょ~。ご近所でやられてみなよ、それ。

博士:そう言えば、この間も、テレビで坂上忍年表やったんですよ。

町山:なぜ坂上忍年表なんて作ったんですか?

博士:テレビ東京で『別顔発表会』という番組の要請があって。プロデューサーがケイマックスの小西さん。町山さんもよく知っているでしょ。ボクは坂上忍さん、実は、いろいろと縁があるんだけど、今のテレビの司会者で生放送を仕切れる、しかも過激さを失わずという意味では一番、買ってますよ。それなのに何故か、ボクは『バイキング』を切られましたけど(笑)。twitterをみると、町山さんは、最近、坂上忍さんが、お嫌いなんですか?

町山:こないだの『バイキング』の発言がね。セクハラの告発に対して「枕営業だろ」って。ひどすぎる。山口敬之のレイプについてもね。
 彼は権力におもねってさ。坂上忍って「反逆のアイドル」歌ってたくせに。それを覚えてる人なんか俺くらいだけど。

博士:ビリー・アイドルのカバーでしょ。「MIDNIGHT DANCE」ね(笑)皆さん、我々、お互い62年生まれで、もう55才だから、古いことを知っているんですよ。


石原慎太郎さんに「藝人春秋2」を読ませたい


博士:『藝人春秋2』は5年ぶりの新作になるんですが、2013年から2014年にかけて『週刊文春』に1年間50回連載したものを、3年かけて上下巻の本として出版しました。自分で言うのもナンですが、膨大な作業を経て、今日、製本としては、ようやく出来あがったので、それはもう、今、感慨深いです。
 上下巻が同時に出るっていうのは、出版界のルールとしてエッセイ本だとまずないことなんです。普通は営業戦略的には上・下の出版の時期をずらすんです。でも、上巻だけだと書評が書き難いという理由で上下巻同時発売をボクが文春側を説得したんです。だから、今日、来てるお客さん、読者には、読んだら、是非書評を書いて欲しい。皆さん読んだあと書評を書いて、書評を響かせることが、本が売れていくことだと思っているんで。
 俺が芸人として持っている集客力って、こうやってライブでお客さんを集めるのは何百が限界だと思っているんですよ。しかも自分が持っている固定読者って5000くらいだと思っているんです。でも、この本、上下巻、初版が1万5000×2だから、俺の中で3万人の観客の前でいきなりステージをやらなきゃいけないっていう。
 それは僕にとってはプレッシャーだけど、読者にお届けするっていうのは、小さな書評のさざ波が集まって大きくなって対岸まで届くんだっていう気持ちがあるんで。
 今日が、本が生まれた初日ですけど、時間をかけても届かせたいと思っていますよ。


――本のなかでは大物に切り込んでいますが(司会者)


博士:今回、一番、本を書くモチベーションとして大きいのは、下巻に登場する石原慎太郎さんが既に高齢なので、生きてるうちにこの本を見せたいっていうのがあるんですよ。
 結局、『はかせのはなし』(KADOKAWA)という東京都広報に慎太郎知事からの依頼で書いた文章の本で、対談をお願いしたけど断られたって経緯もあるので、「死人に口なし」で向こうに反論できないことをやりたくないんです。正々堂々とペンを剣にして挑みたい。もう毎日、「頼むから石原慎太郎よ、まだ死なないでくれ!」って思いながら書きました。今一度、読んだ、感想をいただきたいと思っています。


――大物の方に迫る、切り込む心構えは?


博士:この本は、町山さんの影響下で書かれているというか、スペシャルサンクスに入れてますよ、いとうせいこうさんと共にね。
 お笑いの役目、仕事を考えると、権力とお笑いは、偉そうなのとお笑いは、「王様と道化」の関係なんだっていうのは、ボクがたけし軍団の初期の頃は全く知らなかったし、わからなかった。ノンポリだったので想像もしていなかった。
 でも、町山さんのラジオや著作の活動を通して、あ、そういうことのためにお笑い芸人はいるんだっていうのが分かったから。そこを反映している本です。
 だから、威張っていたり、強い人、権力者は、からかう、足元をすくう、笑い飛ばす。だって、あなたは「王様」だもん。俺、「道化」だから。しかし、「笑わせる」、その技術と職能はせめて認めてくれよ! っていう本です。うーん。でもこの例えも、今、分かりにくくなってますね。

町山:今、足元通る(橋下徹)とか余計なこと言いそうになりましたよ。その話はしますよ、これからね。

博士:いいですか? 皆さん、今日は、サブカルのモンゴル会ですよ。「もう町山の時代は終わったんだよー!」(博士が手を振り上げると、町山がマイクで殴りかかとうとする)

町山:これ、大島渚と野坂昭如でしょ。それもお互い古いなあ~。もう誰も元が分かんないよ。


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(一度、ふたりが退出――。
博士が007の衣装と拳銃を持ち、007のテーマ曲で再び登場)

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博士:スイマセン。この登場の仕方は町山さんのリクエストなんですよ。ボクはちょっと、このコスプレが恥ずかしい......。

町山:『藝人春秋2』は上下巻に007シリーズの副題がついてて、音符が出てくるんですよ。これが、今、かかっている曲なんですよね。

博士:映画で、お馴染のジョン・バリーの『007』のテーマの楽譜は、正確に音拾ってますから。

町山:ほんとに!? じゃあ著作権の申請しないと使えないんじゃないの。

博士:著作権の申請はしてるはずです。

町山:著作権料をわざわざ払って音符載せる意味って?

博士:なぜ楽譜を入れているのかというと、この本のチューニングとして、全編、読んでいる間、この曲が行間から流れていくっていう設定があるんですね。テーマはスパイなんで。
 それは一作目を書いたときに、「自分は芸能人ではない。むしろ芸能界に潜入したルポライターだ」っていうボクの役柄の設定、自覚があったんですね。自分がそういう存在ではないか、自問自答しながら書いていく。で、『藝人春秋2』を書いたときに、前作のテーマを乗り越えるためにはどうすればいいか? ルポライターより、潜入工作員のほうが深いんじゃないかって思いついて。そこからボクの設定はイギリスの諜報組織M16のスパイになって(笑)
 本編の流れの中でね。あ、実際にはスパイじゃないですよ。時節柄、北の工作員だと思われたら困りますから。

町山:北野たけし軍団だけにね(笑)。


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博士:そういう設定をやって、まず、文春の連載時には、「週刊朝日」の佐野眞一がしくじった「はしした」問題で、雑誌業界のタブーになっていた橋下徹知事・第一章を書いて、二章にはデーブ・スペクターが来てるんだけど、それは007の敵が「スペクター」っていうことで掛かっているから登場する。(会場から拍手)

町山:みんな分かってるよ(笑)

博士:嬉しい~! で、そのスペクターと俺・大木ボンドならぬ小ボンドが、上巻では、橋下徹を東京に仲介した「スペクター」という謎のスパイ組織と戦っているっていう設定を作ってるんです。

町山:彼、デーブ・スペクターも売りがCIAのスパイじゃないですか。

博士:そうそう、「オマエはCIAのスパイだろ!」って実際、大島渚に言われたことがあるんです。「朝生」の生放送で。でも、この本のデーブ・スペクターの経歴は、過去のどの本よりも詳細だと思う。
 だって、アメリカ時代の経歴は英文を取り寄せて調べたから。でも、オチは、新幹線車内の「フェラハラ」だから(笑)。今も、番組でこの話をすると、必ず、デーブが赤面しますよ。

町山:「新幹線だけにエキを飛ばしそうになりました(笑)」というオチをつけたデーブさん、やっぱり天才だと思いました。
 で、『藝人春秋2』って本は、博士がスパイとして芸能界を潜入捜査するというコンセプトなんですが、それって博士自身は芸能界の部外者だという意識があるってことですか? 

博士:町山さんの批評にもあるけど、ボクは根っこはそんなに自己顕示欲が強くないと思います。思春期は特に表に出たい人でもなかったし。元々はね。そういう意味では芸能界への違和感はすごいです、常に。前へ出たいって自意識の中がないし、リアルに引きこもりの学生時代を送ったし。
 だから、ある日、芸人になることで、自分以外の自己実現のラインを飛び越えたんです。『藝人春秋1』では『サボテン・ブラザース』のたとえがあるけど。

町山:甲本ヒロトさんの章だね。『サボテン・ブラザース』というコメディ映画に、地面に線を引いて、戦いたくない者はこの線の向こうに行け、というシーンがあって。

博士:これは前作からあるテーマですけど、人生において、芸人になる前は、自分が物語の主人公ではないんですよ。だから、主人公、ヒーローになろうと、ラインを越えていったっていう意識があるから。
 だから誰を見ていてもそうですよ。この人の自意識ってどこにあるんだろうなあって思って眺めたり、観察したりしてしまうんです。この本だと、一番不思議なのは三又又三です。オフィス北野の後輩ですが、一作目にも登場しましたが、ボクから見ると後輩だけど得体の知れない人物なんです。

町山:(会場へ向かって)三又又三って知ってる? あっ結構いるんだ。すごいですね。

博士:知名度はありますよ。ジョーダンズってコンビで売れていたことはあるし、最近、松本人志さん関連でニュースになった。松本人志さんから借金したんです。で、その借金を踏み倒したって言うのが記事になったりして。この本でも書いてありますけど、前作でも登場しているのに、この『藝人春秋2』でも、たっぷり三章、三又だけに、又がって(笑)出て来る。

町山:ものすごく面白かったですよ。この三又又三の章は。

博士:一作目も高田文夫先生が三又又三の章が一番面白いって言われたけど、町山さんが読み終えた時に、一番面白かったのは、やはり三又又三って言われたときの、俺のショックたるや(笑)。

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町山:博士の文章って、とにかくすっごい凝ってるんですよ。1行ごとに仕掛けが入っているんですね。でもその仕掛けが全部分かる人って誰もいなくて。俺も分かりませんでしたから。

博士:「俺も分からないっていう」のは、町山さんの本を読んで、町山さんのためだけに入れている引用がものすごいあるんですよ。
 例えば、寺門ジモンさんの章で、武井壮との戦いを実況しながら、唐突に「何があったの? ジモンさん!」とボクが声を出すところ。あれは町山さんだけに向けたんだけど......。

町山:公民権運動に貢献した黒人女性シンガーの二ーナ・シモンのドキュメンタリーでしょ。「What Happened, Miss Simone?」って、わかんないよ!

博士:いや、町山さんの新書『映画と本の意外な関係』(集英社インターナショナル)に、そのタイトルの章があるから(笑)。昨日、お会いした時、そういうのを全部、答え合わせしたら、ことごとく「いや分からない」って。

町山:いや分からなかった。凝り過ぎだよね。それなのに業界用語でいう「ベタ」な三又又三の話のほうが笑えるって言ったから、博士はショック受けるよ。

博士:大きなところを言えば、町山さんの有料音声メルマガ『映画ムダ話』のチャップリンの『ライムライト』は強く影響を受けて、文章に反映しています。特にエピローグを書くために何度聞いたことか。

町山:そうなの。わからなかった(笑)

博士:喜劇人の持つ、宿命みたいなものへの覚悟ですけどね。(この後、どんどん続く)

(2017年11月30日〈文春トークライブ 第20回〉
町山智浩×水道橋博士『言霊USA』vs.『藝人春秋』より)

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