博士が生放送中に番組を降板した「真」の理由 『水道橋博士×町山智浩 がメッタ斬りトーク』(3)

2018年03月05日 橋下徹 水道橋博士 町山智浩 藝人春秋 降板

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町山:ところで、『藝人春秋』っていうタイトルで、博士が色んな人たちをスパイして調べてるじゃないですか。そもそも『文藝春秋』って元々そういう雑誌だったよね。

博士:これね、『1』を書いてる時に『藝人春秋』って『文藝春秋』のパロディだけでタイトルをつけてるじゃないですか、で、町山さんが単行本を読んだ後、ブログで書評を書いてくれて。町山さんが指摘したのは、元々菊池寛が作った『文藝春秋』っていう雑誌自体が、スキャンダル雑誌で、主に作家の醜聞を書いてたって。

町山:『文藝春秋』って雑誌名だから、みんな勘違いして、文芸誌だったと思ってる人って多くないですか? 全然違うんですよね。もともとは、文壇のセゴシップを集めた雑誌で。

博士:いわば、『噂の真相』ですよね。

町山:そう、『噂の真相』だったんですよ。だから、今の『週刊文春』はその伝統を引き継いでるだけでね、実は。

博士:スキャンダルで売る、文春砲っていうのは正しく......。

町山:芥川賞とか出してるから文芸雑誌だと思ってる人がいるけど、もともとはゴシップ誌ですよ。

博士:それ自体を、俺自身は、町山さんの書評で知ることによって、そこから、まず菊地寛の評伝とか、坪内祐三の一連の出版系の歴史本を読むなりして、『文藝春秋』史も当たって、一番最初のシーンは、文藝春秋の赤絨毯のサロンから始まるんですよ。あの文壇的サロンを舞台にしたのは、それを意識しました。
 あと、「春秋」っていう言葉も、元ネタの四書五経の中にあり、史記、史伝、歴史を記していくものだって、だから、今の週刊文春の連載は『週刊藝人春秋Diary』って題して、全ての日付を打って、芸能界で本当にあった話を「史書」として書くって縛りのスタイルです。
 特に、この本も相当に訴訟リスクのあることを書いてるから、橋下徹関係のところなんかは、テレビの中で起こってた出来事を、もう一度そのテレビ番組を取り寄せて、全て言った台詞を正確に聞き取りもやってるんですよ。

町山:その話が、橋下徹知事の出た『たかじんNOマネー』という関西のテレビ番組で......。

博士:テレビ大阪。当時、ボクが東京から通って、3年レギュラーやってて。

町山:レギュラーやってた博士が、生本番中に降板した事件があって、あの時は世間から「逃げた!」とかなんか言われたんですよね。

博士:大バッシングを受けました、それが「小銭稼ぎのコメンテーター事件」です。
 でも、あの台詞は俺に言ったんじゃないです。俺に言ったってことになっているけど、実は明確に司会だった大谷昭宏さんに向けて言ってる。

町山:博士がなぜそこで橋下徹に切れて、退出してしまったのか。『藝人春秋2』の上巻では、テレビの『しくじり先生』で話したとおりの文脈で説明します。実は橋下徹が昔、TBSの『サンジャポ』でやった降板を本人の目の前で真似したんだけど、誰にも伝わらなかったと。

博士:確かに、あれはお笑い的には完全にスベっている(笑)。

町山:でも、それは本当の理由じゃないんですよ。下巻ではもっと大きな話になっていく。

博士:それは、あの事件の意図、真相が下巻に繋がっていくんです。

町山:これ推理小説だとすると、今ここで俺がネタバレを言うのはよくないんですが......割っちゃうと。

博士:大丈夫、ここにいる人は、ちゃんと下巻まで読んでくれる人たちだから。

町山:ネタバレ聞いても、どうせ読むもんね。実はあの番組は、たかじんさんのあの辺の関西の番組を仕切ってる「ボーイズ」という製作プロダクションがやっていたんです。
 で、この「ボーイズ」が作っている番組は明らかにテレビ使って政治に影響を与えようとしている。投票をコントロールしようとしている。博士はそれが気に食わなかった。で、ボーイズのトップはAという男で。

博士:最近起きてるテレビの事件のほとんどの首謀者、ボクから言わせれば、黒幕です。百田尚樹先生が書いた、たかじんさんの『殉愛』騒動も、BPOで問題になった『ニュース女子』事件も彼が裏にいる。「ボーイズ」なのに『ニュース女子』事件を起こしてる(笑)。

町山:具体的に言っちゃうと、テレビを使ったプロパガンダで『維新の会』を選挙で勝たせたのがAだと。

博士:というか、関西で、あそこまでの維新の風や、影響力を持たせた、そのマスコミ印象操作の片棒を担いだ一員だってことです。

町山:あの頃、橋下さんが従軍慰安婦について、「慰安婦は必要だったんだ」って言ったんですね。
 俺はあれは実はすごく重要な一歩だと思っています。というのは、それまで右派の人たちは従軍慰安婦ってものは存在しなかったって言ってたんだけど、橋下発言からは、慰安婦が存在したことだけは大前提になったんで、一歩進んだ形になったと思います。
 でも、橋下徹は「慰安婦は戦時には必要だった」とテレビで発言して問題になった。それも「ボーイズ」系列の番組でしたか?

博士:「ボーイズ」が作っている番組が『たかじんのそこまで言って委員会』であり『たかじんNOマネー』です。Aは、もともと、たかじんさんが作った制作会社の社長なの。はじめは政治系ではなく、お笑い番組の制作会社の出身なんです。

町山:Aは社長なんだね。橋下さんがレギュラーで出ている番組で、視聴者を対象に彼の政策の是非を問うアンケートをやったら、その結果が世論調査として流布されて、ちゃんとした新聞にも載ってしまった。当然、橋下さんの政策に「イエス」の方が圧倒的なんだけど、一つの番組の視聴者の「イエス」、「ノー」が世論調査の結果として新聞で報じられる異常事態になっちゃった。
 要はたかじんが言うことや橋下さんが正しいと思ってる人が見てるのに、そのアンケート結果が一般の世論調査として認められ、政治に影響を与えてしまった。その問題性を博士は『藝人春秋』でびしっと指摘している。
 関西の芸能番組、バラエティ番組の政治に対する影響力はものすごいんだって、宮崎哲弥さんがこの本のなかでも言っているんですけど、それは大阪に住んでないと分からない。

博士:うん。それは山本七平風に言えば、「空気」だから分からない。あれは東京から、毎週通っていないと分からない。ふだんは東京に居るからこそ違和感をもちやすい。

町山:そんなにすごい影響力なんですか?

博士:関西のたかじん番組の政治的影響力はすごい。特にもともと右翼的な考え方は瞬時に染まりやすい。だから維新の風が吹いたっていうのはテレビ的扇動は大きい。
 ま、維新が右翼的とか保守的とは言えないんだけど、実際に改革派だし。実行力もあった。論点は、また、そことは別にあるんだけど。

町山:維新の橋下さんが大阪で熱烈な支持を得たのは、たかじんさんの番組の裏にいる、Aが、最初から企んでいたことだったと?

博士:いや、企んだというよりは、この人自体は、行動原理に芯がなく中身が無い、ただのノンポリだと思う。何かと右顧左眄するけど、とにかく声がデカイだけの「進軍ラッパ」だと思う。

町山:ノンポリだけど、自分がテレビを通して大衆を操れるようになったので、やってみたかったんだろうねえ。エリア・カザンの映画『群衆の中の一つの顔』はまさにそんな話だった。

博士:制作会社の社長になって、業界の下っ端だったのが、高視聴率を叩き出して、段々と、局よりも自分の方が偉くなっていく。その中で、自分自身は全く無思想なのに、その影響力を誇示するためにも政治討論番組をやっていく。自分は一切、前に出ることなくアジテーターを雇って、強い、刺激的な言葉を代弁させている。

町山:それが地方選挙に実際に影響を与えたわけですよね。次に彼らは、国政に影響を与えようとしてて、東京に乗り込んでDHCと一緒にフェイク・ニュース番組『ニュース女子』を作ってるんですね。

博士:俺が主張しているのは、たかじんさんはそんな意志はなかったはずだって。だって自分の放送をかたくなに東京でオンエアさせなかった人じゃない。大阪の芸人であることをこだわったはずなのに、そうやって東京まで行って、エセ討論番組作って、しかも、その内容は放送界的に大事故が起きてるじゃないですか。
 沖縄基地問題のことに関してもね、賛否両論はあっても実際に大いに問題になり、BPOで審査されている。にもかかわらず、本人は全く表に出てこないんですよ。こんな無責任者がいる?

町山:完全に黒幕なんですね。『藝人春秋2』では「A氏」としか書かれてないですけど、今やってるのは『ニュース女子』と『虎ノ門ニュース』?

博士:それもDHCがやっている、朝の帯番組。うちの事務所の居島一平が司会してる。これも最初は左派のコメンテーターもいたのに、何時の間にか全コメンテーターが右側の番組になった。
 この番組の責任者が、もともと「ボーイズ」の関連会社で、殉愛問題に深く関わっている人。『たかじんNOマネー』では頭にバンダナ巻いて、青山繁晴さん番だった人だけど、何時の間にか背広を着た、おエライさんでトップになっていた。

町山:DHCがやってるメディアにA氏という仕掛け人がいるんだという事実は、殆ど知られていないですね。(客席に)知ってた人? いないね。
 この本が訴訟になるかもしれないっていうのは、そのAの部分なんだけど。でもAが具体的に何か違法行為をしたと指摘しているわけじゃないからね。

博士:ボクは、普段から言葉遣いは配慮していて、私生活でも表現として「死ね」っていうのはジョークでも使わないんだけど、ブログやtwitterで言ってるかな? って検索かけて調べたけど、まず言わない。普段も言わない。
 でも下巻は「死ぬのは奴らだ」って副題で書いてて、相手を特定しているから、名誉毀損レベルだと思われるだろう。ただ、そこまで俺に踏み込ませた理由はなんだっていうのを本人に問うてみたい。俺をして、ここまで思い詰め書かせたあなたは、無自覚で、無思想で、無教養で、しかもマスコミで無責任に、ここまでやってるんじゃないか? これには愛問題とも絡むけど。

町山:百田尚樹さんの著書『殉愛』ね。

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博士:あれは裁判にもなったけど、まずノンフィクションの流儀を踏みにじったってことが許せないんですよ。

町山:百田さん、双方に取材してないんだからね。

博士:両論併記のノンフィクションの手法を踏みにじって、しかも、それを「おかしいんじゃないか?」って疑義を持った読者に対して、百田尚樹は、本当にネットの書き込みに「法廷に引きずり出す」って書いて、「人間のクズ」って罵倒を読者に対して書き続けた人だから。それは俺は心から軽蔑するよ。
 読者に対してそう言ったっていうこと。この事実を認めて、それを謝らない出版元の幻冬舎、見城徹もおかしい。見城徹は編集者としてはボクはものすごく影響を受けた人だけど、今はもうおかしい。日本の芸能界、出版界で誰も面と向かって抗議していないのもおかしい。見城徹さんの今の偏向や政商ぶりに対して、あと、百田尚樹の『愛』出版に関して、あれが欠陥あるノンフィクションで、裁判になるほどの「事故」であるっていうことを認めない。見城徹は自分の『755』っていうSNSで言い訳を書いてたけど削除した。証拠隠滅した。

町山:見城さんすごい人だからね~。

博士:もともと志のある編集者だった。それがカネと権力を得て「怪物」になっていくっていうとき、何故、若者の志をなぜ奪うの? あなたは今まで若者の無垢な志を問うてきた人じゃない。青雲の志、意気を称揚したじゃないか。それが、出版は金になるものだけを作れっていうことなの? 金になる作家は守れ! 確かに作家を守れっていうのは、それも編集者の流儀なんだけど。血の契りを結んだら絶対に守り通すっていう流儀を全うしている、それは分かるけど......。でもだめだ! なぜ、だめかというと、多くの出版人が血と汗を流して作ったノンフィクションの流儀っていうのは、もっともっと、長い年月を経て培ってきた、それより深くて、広義で大事なものじゃない。
 検証本の『百田尚樹「殉愛」の真実』(宝島社)で名うてのルポライターが再調査した抗議に、面と向かって、ひとつひとつ答えて、見城さんも前に出て説明してくれよ。そういう姿を見せてくれよ。見城さんも芸能界・政界の黒幕気取りでさ、テレビで超高層タワーマンションで、自分の贅の限りを尽くした部屋を見せびらかして、高級ワインをきこしめす。そんなんで悦に入っちゃって、もうがっかりだよ!! で、安倍政権をバックアップするためには、これだけ示威行為をやるんだって、老醜極まりないよ。

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町山:「ボーイズ」のA氏と同じで、見城徹は力を持っちゃったから。俺、政治だって動かせるかもって思ったんだろうね。で、安倍総理大臣を自分の番組(『徹の部屋』2017年10月8日放送)に呼んで、ヨイショしたわけだけど、あれもインターネットTVだったから許されてるんですよね、AbemaTVだから。
 テレビじゃ絶対できないですよ。不偏不党の原則に反してるから。DHCもそうだけど、今インターネットのテレビって政治プロパガンダの嵐になってるんだ。放送法の管轄外だから。

博士:ネット番組の政治プロパガンダが法律的に大丈夫だからやるんだっていうのは、それは最低限いいですよ。認めますよ。それぞれ異論反論があって、公に見せれるっていうのは良い。それでも、AbemaTVでやった番組は、マスコミ側にいる人、ジャーナリズム側が、安倍総理の顔を見て「ダンディでカッコイイ」「すごくハンサムで内面がにじみ出ている」「信義に厚く正直で嘘をつかない」っとかさ、いきなり、おべんちゃらを言うんだもの。何なの、あれ?

町山:あれね。見城徹が「安倍さんのお顔が~」って顔を褒める。それ、太鼓持ちとしても最低レベルだよね。

博士:自分が入社した出版・言論の会社の社長が、最大権力者にこんなに媚びへつらう所を見せられる、社員や若者の気持ちになれっていうね。あれはトホホな気分になりますよ。
 ボク、成功者が恋愛ごとに寄り添い、破天荒なのは大いに結構ですよ。何も問題ない。でも総理大臣って最大権力者でしょ。そこに寄り添う、政商をやって茶坊主をやって世の中を動かすって言うことに対して、これ何が悪いんだって言われたときに、俺55歳だけど、そんなの悪いに決まってんじゃん! まずカッコ悪いよ! 俺は何も持たざるものだけど、本を読んで、熱く滾った気持ち、若き青雲の志、正義感はどうしてくれんだっていう気持ちが止まないのよ、俺は!
 こんなこと言うと、もうテレビ朝日やAbemaTVなんか、ほぼ出れないと思うよ。俺なんかもう。だったら干せよ!

町山:ああそうなんだ。本当に?

博士:俺、AbemaTVの年間アワードの審査員とかやったし、今のAbemaの番組の企画力も評価しているけど、最近、AbemaTVの『橋下徹の即リプ』っていう生放送番組に出してくださいってtwitterを何回送っても完全無視される。スルー。twitterでやってるわけだから全世界お見通し。でも、あえて無視ですよ。あれってよっぽど困るのかね? しかもあれだけ、橋下さんが強気で、誰でもかかって来い! という姿勢でやっているくせに。

町山:「ボーイズ」とか、見城がやってる政治プロパガンダ番組をそのままビデオで見せながら、リアルタイムで茶化す番組はどうだろう。日本ではあんまりないけど、アメリカでは、他局の番組のフッテージをそのまま引用して批評するのが許されてるのね。アメリカではディズニー裁判以来、批評する時は無断で引用していいんだけど、日本はまだ許されないよね。

博士:俺は裁判上等なんですよね、この本に書いていること自体はね。絶対的に裏取りに自信があるから。ま、それを含めてもただの物騒ではなく、圧倒的に面白い、笑える本なんだけど。(まだまだ続く|文中敬称略)


(2017年11月30日〈文春トークライブ 第20回〉 町山智浩×水道橋博士『言霊USA』vs.『藝人春秋』より)

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