「糞女上坂すみれ絶対ぶっ殺す」
2chに声優の上坂すみれさんへの殺害予告を書き込んで威力業務妨害の容疑で逮捕された小野寺達也は当時20歳の高専生でした。
この書き込みを問題視した上坂さんの所属する芸能事務所は臨時会議を開き、イベント時の警備を増加することや、上坂さんの仕事への行き帰りはスタッフが送迎することが決定しました。上坂さん本人も安全の確認がとれるまでは必要のない外出を制限され、ショックと恐怖で体調を崩してしまったそうです。
法廷で見た彼は見るからにおとなしそうな男で、被告人席ではしきりに手や足をもぞもぞと動かすなど終始落ち着かない様子でした。弁護人や検察官からの質問に対してなかなか言葉が出てこない彼を見て、人と話すことに極端に不慣れなことがうかがわれました。あえてネットスラングで言うならまさに典型的な『陰キャ』である彼は、『ぶっ殺す』などという言葉を実際に使ったことなど一度もないのではないか、という気がします。
小野寺は山形県の実家で両親、姉とともに生活しながら高専に通っていました。高専の最終学年だった彼は、就職活動や卒業研究論文の作成に悩み、ストレスを感じていました。
「元々、コミュニケーションが苦手で、自分の言いたいことが上手く伝えられません。自分の頭のなかでどういう言葉を言えばいいか考えこんでしまって、言葉につまることが多いです。家族にもあまり話せなかった」
こう語る彼は、学校では友達はいませんでした。小学生、中学生のころは少ないながらも数人は友達と呼べる同級生がいたようですが、高専に進学してから全くいませんでした。
「高専ではどう友達を作ればいいかわからなくて、友達はいませんでした。それでだんだん内に閉じこもるようになりました」
家庭内でも学校でも人とうまく話すことができなかった彼が、人とコミュニケーションをとれる唯一の場所がインターネット上の掲示板でした。
学校生活への不満がありました。学校の勉強は難しくて限界を感じていました。将来に対する不安や悩みがありました。誰にも話せなかったことが、ネット上ではすらすらと出てきました。生まれて初めて彼は自分を表現することができたのです。彼は夢中になって書き込みを繰り返し、のめり込むようになりました。
「現実から逃げようとして、ネットの世界に逃げ込んでしまいました」
いつしか彼にとってネット上の人間との交流だけが『現実』になっていたのだと思います。そんな時に彼は上坂すみれさんについて書かれている掲示板にめぐり逢ってしまいます。
「はじめは上坂さんへの誹謗中傷が書かれた書き込みを見て、自分も便乗して書いていました」
汚い言葉や強い言葉で彼女を罵れば罵るほど、自分の書き込みに反応してくれる人が増えました。それは彼にとって快感でした。今まで、現実では自分の言葉に誰かが反応してくれた経験などほとんどないのです。もう、歯止めはききませんでした。
「反応してくれる人がいるのが嬉しくて...誹謗中傷の延長でやってしまいました。殺害予告が犯罪になるのは分かってました。でも、自分の書き込みがこんな大事になるとは思ってませんでした」
彼は通っていた高専を、学校と相談した上で自主退学をすることになりました。今後のために彼のコミュニケーションの問題を探るべく医療機関に相談に行ったそうです。『特に病的ではない』という診断結果でしたが、コミュニケーション能力の向上のためのサポートはしてくれるそうです。
誰かと話すのが苦手で怖くて自分の殻に閉じこもりながら、それでも彼は誰かとつながることを渇望していました。
「糞女ぶっ殺す」
彼の書いたこの言葉の汚さに、彼の内面にある飢餓感とも似た寂しさや孤独が透けて見えるようにも感じます。(取材・文◎鈴木孔明)
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