最近、裏社会情報で掴んでおかなければならない用語が「準暴力団」である。これは、従来マスメディアが「半グレ」と呼んでいたグループに対して、警察庁が「ここら辺できっちりと、どういう連中かハッキリさせておかないといけない」という意図のよって使われているように見える。
そして、もう一つのポイントが「警察庁が規定した」という文言。「指定」ではなく「規定」なのだ。
よく「指定暴力団」という言葉を聞くと思うが、これは国家公安委員会を通して出されものである。が、「規定」は意外と曖昧で内規のようなもの。つまり、「警察庁ではそう呼びますよ」という発表をしたに過ぎない。なので、警察庁の意向によっては、ある人物に対して暴力団に属していなくても、警察庁が「こいつは準暴力団だ」とみなせば、準暴力団になってしまうというようなもの、と言うこともできてしまう。
具体的には関東連合や怒羅権OBらを想定しているのだろうが、解釈によってはどんどん意味が広げられる可能性を持っている。事実、5月に凶器準備集合罪で逮捕された東京都の暴走族OB太田連合は「準暴力団」として報じられた。警視庁記者クラブ発のものだから、関東連合や怒羅権以外でも暴走族OBらが犯した罪ならば、準暴力団としてみなすという前例ができたということになる。
アウトローの呼び方には暴力団の他に企業舎弟、フロント、共生者や周辺者など様々な名称がある。では、暴力団はイコール、ヤクザなのでアウトローのヒエラルキーの頂点にあるとして、準暴力団はどこに位置するのだろうか。企業舎弟より暴力団に近いのだろうか。罪を犯したとして、準暴力団と企業舎弟ではどちらが重くなるのだろうか。現役のマル暴に聞いてみた(マル暴=四課、組織犯罪対策の警察官)。彼の解釈はこうだ。
「準暴力団とは警察側が、ヤクザ認定する資料等がないため、ヤクザと認定できないたけであって、実質的にはヤクザ」
「企業舎弟はやくざを前面に出さずに資金提供やその他の活動(車の名前貸など)を行い、また、ヤクザが前面に出られない場合、代わって出てくる。その代わり、裏では看板利用している」
「フロント企業は昔からありましたが、今は共生者、密接交際業者、どんどん定着しているので正直、こいつはどっちなの? という奴も多い」
そして、どちらが罪が重くなるか、どちらがヤクザに近しいのかと聞くと、マル暴からは即座に「準暴力団」という答えが返ってきた。
つまり、ヤクザの次が企業舎弟だったとされる闇社会のピラミッドに、最近新たに「準暴力団」が入ってきたことになる。彼らはどういう人間なのか、という解釈は前出のマル暴が言うように「こいつはどっちなの?」と言うタイプも多い。
ただ一つ言えるのは、暴走族OBは都合によって「準暴力団」とみなされることがある。と同時に、この解釈は暴走族のみならず、定義があいまいなストリートの元ギャングにまで広がると考えることができるのだ。
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Written by 西郷正興
Photo by 爆発!暴走族 [DVD]
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