悪いのは小森純、ピース綾部だけじゃない? 某メディアがひた隠す「ペニオク詐欺加担」の過去

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 今回取り上げるのは、以前アップした「CG児童ポルノおよび擬似児童ポルノ騒動」の続きとも言うべき、とあるニュースサイトの大失敗についてだ。出版メディアが運営するサイトすらも鵜呑みにしてはいけないという好例なので、頭の片隅に入れておいて欲しい。

 さて、つい先日日刊ナックルズにこのような記事がアップされた。

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 この記事では騒動に加担した芸能人が批判の的になっているが、あの一連の事件について反省すべきは末端のタレントだけなのだろうか? 確かにあれだけの騒ぎになったのに、未だにブログやTwitterで地道なシノギを続けているタレントや芸能事務所のトホホさは目に余るが、かといって彼ら彼女らだけ批判すればいいというものではないだろう。

 例えば、昨年12月にとある出版社が運営するニュースサイトに、当時話題になっていたペニーオークション詐欺と、それに加担したとされる芸能人を批判する記事が掲載された。

 ところが、その記事が掲載されたページの下部に【PR】という表記付きながら、ペニーオークションを全力でプッシュする広告記事へのリンクがズラっと並んでいたのだ。

 そのサムネイル群が何かというと、(おそらく)記事の関連キーワードから「テーマが近い」と判断されたサイト内の過去ログが、自動で書き出されるシステムと思われる。だが昨年の12月の時点で、これらをクリックしても元ページが削除されてしまっており、Not Foundの画面が表示されるだけだった。

 だが、この騒動が持ち上がった直後は、Google等で検索すれば、記事削除前のキャッシュがゴロゴロと発掘できてしまったのである。

 そう、この某ニュースサイトは(確認しただけでも)2010年の段階ですでに事件化されたペニーオークションの記事広告を載せており、広告主と広告媒体として長いお付き合いだったのだ。しかも、中には【PR】の表記がない通常記事として掲載されたものもあり、非常に悪質な手法だと言える。それが芸能人が絡んで逮捕だ摘発だと大騒ぎになったことから「PV稼げるじゃん!」と、反射的に「ペニーオークションなんて詐欺だ! ひとでなしだ!ワーワー!」と調子に乗って批判記事を連発してしまったのだろう。 

 悪い事は悪いと記事にするのは当たり前だという声もあろうが、だからといって広告収入欲しさに逮捕者が出るような筋の悪い金主から金を貰っていた事実は消えない。こうなると、そのサイトがペニオクに加担したとされる芸能人に向ける批判・非難の言葉が、全て自身に跳ね返ってしまう。これを巷では”ブーメラン”と呼ぶ。今後もネトウヨ論で何度も繰り返し出て来る単語だと思うのでぜひ覚えておいて欲しい。

 これ以上書くと単なるイジメのようになってしまうが、このニュースサイトがどのようなペニーオークション批判をしたか抜き出してみよう。

「知らなかったのが本当だったとしても、結果的に詐欺にかかわったのは紛れもない事実。ギャラに釣られて軽率な行動をしたタレントたちは反省してほしい。」

「PRマーク」とは、ブログが芸能人にとって”お仕事”であることを一般人に突きつける夢のないマークではあるが、規定である以上、きちんと守ってほしいものだ。」

「”ペニオク詐欺”の広告塔になっていた小森純を痛烈批判したタレントの西川史子に、”ネット詐欺加担疑惑”が浮上した。事実ならば「おまえが言うな」と揶揄されても仕方がない」

 このサイトの名言はまだまだあるのだが、どれもこれもまさに「おまえが言うな」の一言で片付けられる。”ペニオク詐欺に加担した芸能人の罪”などと見出しを付けるならば、ついでに”ペニオク詐欺に加担したメディアの罪”という記事もアップして欲しいところだ。

 ちなみにペニオクPRに加担していた情報サイトはここだけではなく、大手どころではガジェット通信やギズモードジャパンなどもある。だがこれらのサイトはいち早く謝罪文をアップし、ダメージを最小限に抑えることに成功した。 

・ガジェット通信 http://getnews.jp/archives/278626

・ギズモードジャパンhttp://www.mediagene.co.jp/2012/12/1199.html

 出版メディアにしろWEBメディアにしろ、記事と広告では担当者が違って当たり前なので、この手の失敗が起こるのは仕方ないという面もある。日刊ナックルズだっていずれ同様の失敗をする可能性がないとは言えない。今はWEBメディアがまだまだ商売として正当な評価を受けづらく、ある程度の事には目をつぶらなければ、とてもじゃないが続けていけない。だが、ガジェット通信やギズモードがそうしたように、何かあった場合は早急に謝罪し、読者に対して誠意を見せる事だけは忘れてはならないだろう。

 ところが、今回取り上げた某ニュースサイトは、ヤラかしてしまった後の立ち振舞いでも大失敗をしているのだ。ペニオク詐欺事件が表面化して以降、謝罪していないWEBメディアは、そのニュースサイトと2ちゃんまとめ系のアフィリエイトサイト程度のものなので、これらは「書き飛ばし」という意味で、情報ソースとして同一のランクに置いていい。この騒動で誠意のなさ、反省のなさ、無責任さが公になってしまったのだから、そのサイトは「2ちゃんと同レベルの便所の落書き」と言われても一切反論のしようがないと思うのだが、いかがだろうか?

 広告収入で運営するサイトには、このような危険が常につき纏うという点は覚えておくべきである。間に代理店が挟まるケースが殆どだと思うが、広告代理店なんてモラルもへったくれもない思考である場合が多いのだから、今後も第二第三のペニオク(or殺人焼肉屋orおせち通販詐欺or健康食品詐欺orプラズマクラスターorマイナスイオンor……)の広告が後を絶たないだろう。記事広告はともかくとして、広告枠(バナー設置枠)をそのまま代理店に預けている場合は、その枠に何を突っ込むか代理店任せになってしまうので、特に危険が大きいと言えよう。

 また、読者・ネット利用者にも声を大にして言いたいのだが、ニュース・映像作品・ゲーム・マンガ・アニメ・音楽……など、コンテンツを制作&維持するには金がかかる。「ネットはタダ」という考えがWEBコンテンツの劣化に直結すると知って欲しい。対価を支払ってくれないネット利用者が多く、彼らが有料コンテンツに対してヒステリックな言動を繰り返して来たから、メディアは広告収入で儲けるしかなくなり、それが広告に見せない広告記事や、PVを水増しするといった様々な騙し手法が横行する要因ともなったのである。それでも「真っ当なやり方ではネットは金にならない」という認識が広まり、事実その通りで、WEBコンテンツに優秀な人材や、金を取れるプロが集まり難くなってしまったのだ。あまりに悲しすぎる悪循環である。

 出版社や企業が運営している体であっても、実態はライター志望の暇な学生が1記事500円程度のギャラで書いてます、といった実例もあるのがニュースサイトだ。そこそこ名のあるメディアだから、覚悟の決まったプロが書いているんだろうと考えるのは大間違いである。

 結局、読んだ人それぞれが自分の頭で情報を精査しなければならない。日刊ナックルズも含め、”どこにも100%鵜呑みにしていい情報など存在しない” と考えよう。

※次回、ペニオク騒動と芸能界の繋がりについて、日刊ナックルズならでは切り口でお届けいたします。

【次回記事】

マネロン、詐欺、薬物汚染…ペニオク騒動で露呈したIT系詐欺師と旧勢力結託の構図

Written by 荒井禎雄

Photo by ame0399

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AYABE MODE (ヨシモトブックス)

好感度低いのも売り。

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