ほんま、気ぃつけや!
知事と市長のダブル選で大騒ぎの大阪。政党間の思惑がむき出しの状況に府民(市民)はシラケ気味とも聞くが、相変わらずのインバウンドブームのなか、街自体は熱くなっている。ところが、そんな活況に水を差しかねない......と警察当局が治安の悪化を懸念しているという。その悩みの種が中心地・ミナミでのぼったくり被害だ。
参考記事:大阪・ミナミでぼったくりグループが摘発 半グレ集団が巻き上げた被害総額は氷山の一角か | TABLO
3月19日の産経WESTではそんなミナミの問題点を指摘している。記事によれば、3月3日、関東から観光で来阪した大学生2人組が、女性から「ひとり1時間、2千円飲み放題」と言われて入店したところ、30分ほどで2万1千円を請求されたという。結局、4千円を支払った後、ぼったくりだとして警察に通報。店側は「民事不介入」をたてに抗弁したが、風営法無許可(深酒営業と思われる)を指摘され、大学生に返金し落着した。
この記事を読む限り、ひとり4千円払ったのかふたりでなのか分からないが、ふたりなら結果的に「言い値」通りなので通報することもなかったとも思うが、大学生らは2万1千円という"法外"な値段に驚き、腹が立ったのかもしれない。
率直にいって、筆者から見ればその程度でよかったね、という話であり、大学生にもなってあまりにも無警戒・情弱過ぎるという感は否めない。同じ大阪ミナミで、「A」(解散)という半グレ集団による暴力的な高額ぼったくり店が摘発され、大々的に報道されてからまだ半年とたっていない。
また、記事によればミナミを管轄する大阪府警南署管内では、2014~2018年に認知したぼったくり被害は計916件で、5年間で約4・3倍に急増しているというのだ。言ってみれば、いまだミナミの街はぼったくり警報発動中であり、かつ、民事不介入の原則がある以上、客はぼったくられ損ということになりかねない。究極のところ、客側は自己責任であり、自分の身は自分で守らなくてはならないのだ。
参考記事:ぼったくり店は儲かる!? はじめて入ったお店の壁に「アレ」が貼ってあったら気を付けろ!! | TABLO
記事の全体トーンとしては、インバウンドでわく大阪のイメージダウンを防ぐためにも、ぼったくり被害を封じ込めなくてはならない......というものだったが、正直、それは徒労に終わる可能性が高いと思う。これはミナミだけの話ではなく、東京、特に歌舞伎町などでも同じだが、その歌舞伎町にして何十年と課題にしてきて、いまだ改善がむずかしいことでもわかる。
もっとも、被害に遭わずに済むこと自体はさほど難しいことではない。初歩の初歩として客引きについていかない、客引きは100%ぼったくりだという"常識"を頭に入れることだ。
ミナミで被害にあった大学生は女性の客引きということだが、これもまた、同地では昔からあること(ちなみに、店頭で女の子たちが宣伝するのは呼び込みで、正規店でも呼び込みはする)。そして、知らない店に入るときは、案内所などを活用することだろう。
いまからのシーズン、新入学生などが街に繰り出す機会が多いが、その行く先では、手ぐすね引いて待っているヤカラもいるということを忘れてはいけない。(取材・文◎鈴木光司)