今、「擬態系カレー」が熱い！ 知らなければ通り過ぎてしまう、カレー店３選！ ｜Mr.tsubaking
カレーブームが謳われて久しい昨今、群雄割拠するカレー店のなかで生き残っていることから、ハズレの店はとても少ないと言えます。しかし、今回ご紹介するのは、通りがかりにフラっと入ることは不可能なお店です。
なぜなら、そこはカレー屋に見えないからです。これを私は「擬態系」と呼んでいます。
まずは初級から。
韓流ブームによって治安も回復し、今では韓国はもちろんアジア各地の方が行き交い「スパイス横丁」と言われる通りまである新宿区大久保界隈。
カレー屋があるという情報だけでそれと思しきマンションに近づいてみても、スパイスショップらしき看板しか見えません。階段を登り、近づいてもなおそれは単なるスパイスショップ。
▲ソルティカージャガルの外観
おそるおそる店内に入ってみても、各種スパイスや乾燥野菜、外国のお米などが販売されており、紛れもなく単なるスパイスショップです。「こいつ何言ってんの？」と言われる覚悟で、アジア系の店員さんにカレーを食べにきたことを伝えると、壁の隙間のような場所から奥へ通されました。するとそこは確かにカレー屋でソルティカージャガルというお店です。
テーブル席が数席の小さな店内ですが、間違いなくカレー屋です。メニューの中から、ランチセット（チキン）を注文。しばらくすると、シルバーのターリー盆にのってダルバート（ネパール式の定食）がやってきました。
▲ダルバート
これが美味い。日本人向けにアレンジされたカレーも多い中、シャバシャバの純ネパールカレーはストレートにスパイスが効いていて美味いです。
つづいて中級。
渋谷の道玄坂から、クラブやラブホテルが密集する地域に入ると、その手前に見えてくるのがこちらです。
▲フラヌールの外観
どうみてもタバコ屋。だれかと一緒にごはんを食べに行って、相手がこの店に入ろうとしたら冗談だとしか思えないレベルではっきりとタバコ屋です。
カレーの口とお腹になっているのにタバコ屋に入っていく自分に違和感を覚えながら、勇気を出して店の戸を開けてみても、まだそこはタバコ屋然とタバコが陳列されていて一瞬ひるみますが、確かに奥にこぢんまりした厨房とカウンターが見え、ほっとしながら着席します。
こちらの名物はステーキカレー。
▲ステーキカレー！！
神保町の名店ボンディのように、欧風のカレーソースはスパイシーでバターの風味も高く美味しいです。そして何と言っても皿の半分を覆ってしまうほど巨大なステーキ。これがまた食べ応えも肉汁もたっぷりで大満足です。タバコ屋で食べるカレーの中で一番美味しいと思います。
そして上級。
都内から大きく離れて福岡市です。博多駅からも一駅でいける吉塚という地域の商店街の中にその店はあります。商店街は閉まりっぱなしのシャッターも多く寂れた印象ですが、目指すカレー店は比較的新しいお店です。
▲シェムリアップの外観
これは、商店街の中にある地域の人の憩いの場になっている銭湯。ではありません！ カンボジア家庭料理の店「シェムリアップ」です。はっきりと「ゆ」って書いてあるけど飲食店です。
吉塚商店街で100年以上にわたって愛されてきた銭湯でしたが、2007年に廃業。そのあとに、居抜きで入ったのがこのお店なのです。
▲どっちが入口？
入口もまだ完全に銭湯です。カレーを食べたいのだけど、男性と女性に別れて食べるのでしょうか。「飲食をやる物件を探してて、どうすれば銭湯の居抜きを見つけてしまうんだよ」という思いが何度も去来しながら入店。
▲下駄箱もなんだかカンボジア調に見えてくる!?
昭和で時が止まったような品々が並んでいます。しかし、店内にはしっかりソファーとテーブルが並んでいて、ようやく飲食店らしい風情にふれられました。かつて女性脱衣所だったのほうの座敷へ案内され、ランチのカレーセットを注文。
▲カレーセット
カンボジア料理店とあって、東南アジア系のサラサラなカレーにパクチーの香りが効いています。黒こしょう１つまでこだわっていて現地から空輸しているそうで、確かな美味しさが味わえます。なんといっても、銭湯の遺物に囲まれながらの食事は、他で体験できるものではありません。
このシェムリアップで何より驚くのは、外観はもちろんですが厨房。
▲厨房、ワロタw
ここまでガチで居抜きするかね！ というほど、浴室がそのまま厨房になっています。水場なのでタイル張りなのは理にかなっていますが、富士山の絵まで残しているのには「いい居抜きっぷりだ」と感心するばかりでした。
みなさんも、これから「擬態系」に注目してみてください。（Mr.tsubaking連載 『どうした!?ウォーカー』 第30回）