元サザン・大森隆志と握手した若いファン「右手洗えない!」川根茶名人と〝どんぶらこ〟御茶ノ水ジャック!官邸トイレの仰天秘話も

丹野園 丹野浩之氏
大森隆志
おざわまりな

「右手洗えない! どうしたら良い?」
ロック界のレジェンドとの握手に、若いファンも大興奮だ。

元サザンオールスターズのギタリスト・大森隆志(69)が17日、東京・御茶ノ水で、自身の名前を冠した「楽茶 どんぶらこシリーズ 大森茶」(税込1100円)の発売記念イベントを開催した。
「お茶の水熱烈楽器祭2026」に合わせ、御茶ノ水駅前のサンクレール広場で販売&サイン会を実施。大森と握手を交わした若いファンが興奮冷めやらぬ様子を見せるなど、世代を超えた人気をうかがわせた。
夜には購入者先着70人を無料招待したトーク&ミニライブが、お茶の水クリスチャンセンターで行われた。
タッグを組んだのは、静岡県川根本町の茶農家「丹野園」の園主・丹野浩之氏。川根茶アンバサダーを務めるタレント・おざわまりなも登場し、「甘みとちょっと深みがあって、後からくるおいしさ」と魅力をアピールした。
大森は「お茶は好きに決まってるじゃんね!」と豪快に語り、青春時代の苦労話から総理官邸の〝総大理石トイレ〟まで、爆笑エピソードを次々と繰り出した。

■「名前だけ貸すのは嫌」元サザンが茶畑に突撃!

そもそも、なぜロック界のレジェンドがお茶を売ることになったのか。仕掛け人は、フジギターズの藤原靖弘社長だった。
台風被害によって大井川鉄道の一部区間が不通となったままの川根本町を何とか盛り上げたい――。そんな思いから大森に協力を持ちかけたところ、「そういうことだったらいいですよ」と快諾したという。
ただし、そこはこだわりのミュージシャン。「名前だけ貸すのは嫌じゃないですか」と、自ら現地の茶畑へ足を運んだ。
そこで生まれて初めて摘みたての茶の芽を口にした。
「苦いんですよ。でも、あとから甘みが来る。びっくりしました」
その味わいに感動した大森は「これはうまい。これでいきましょう」と商品化を決意した。
完成したパッケージには、大森と丹野氏が桃太郎よろしく大きな桃に乗り、川根本町から御茶ノ水まで〝どんぶらこ〟と流れてくる姿が描かれている。
ロックと日本茶。異色の組み合わせが桃の舟で結ばれた格好だ。

■時給200円! 富士そばの素うどんで食いつなぎレスポール購入

大森にとって御茶ノ水は、特別な思い出のある街でもある。
青山学院大学に通っていた学生時代、どうしても欲しかったのがギブソンの名器「レスポール」だった。喫茶店でアルバイトに明け暮れ、食事は富士そばの素うどんで節約。当時の時給は200円ほどだったという。
「お給料をもらって、頭金ができて、そのお金を握りしめて、お茶の水の下倉楽器というところに行きまして、レスポール買ったんですよ。嬉しかったですね」
「もう、だから楽器を買うならお茶の水ね。楽器の街ですからね、お茶の水」
かつて憧れのギターを手に入れた街に、今度は自分の名前を冠したお茶を引っ提げて帰ってきた。
「そういう原体験が僕にもありまして。今日ここでこうやってやれるのが、すごくうれしく思っています」

■御茶ノ水が〝どんぶらこ〟一色! 地元町会長も歓迎

今回の企画には、音楽関係者だけでなく地元商店街も協力した。大森と丹野氏が桃に乗って旅するポスターは、楽器店をはじめ、喫茶店、ラーメン店、洋食店、居酒屋、オフィスビルなど街のあちこちに掲示された。

ちよだ音楽連合会会長で、シンコーミュージック・エンタテイメント代表取締役社長の草野夏矢氏は「楽器の街、御茶ノ水を盛り上げるために熱烈楽器祭に御足労頂いた大森さんありがとうございます」と感謝。
神田駿河台西町会会長の國井修一氏も「神田駿河台のお茶の水と川根お茶プロジェクトを大森隆志さん自ら盛り上げて頂き感謝致します」と歓迎した。
音楽の街と茶どころをつなぐ取り組みは、地域ぐるみの広がりを見せた。

■「日本一は2回です!」大森の〝盛りすぎ紹介〟に会場爆笑

一方、丹野氏の半生も波瀾万丈だ。小学4年生の時に父親を交通事故で亡くし、祖父を師匠として茶づくりの道へ。川根高校の卒業式翌日から茶農家として働き始めた。
「クワの持ち方も、地下足袋の履き方も分からずに始めました」
努力を重ね、41歳で全国茶品評会の日本一に輝いた。
「親父が早くに死んだもんですから、そのリベンジと思って頑張った」
その実績を買われ、九州各地で講演を行い、アサヒ飲料の緑茶「若武者」の監修も担当した。
当初は地元から批判も浴びたというが、「今思えば、本当にやってみてよかった。10年付き合わさせてもらいました」と振り返った。
そんな名人を紹介する大森だったが、サービス精神が少々暴走。
「日本一を3回取ってる」「4回!」
すると丹野氏が、すかさず訂正した。
「日本一は2回です」
ロックスターの〝盛りすぎ〟に客席は大爆笑。息の合った掛け合いを見せた。

■皇室献上茶の名人が明かした「総理官邸のトイレは総大理石」

丹野氏は、皇室に献上するお茶の製造にも携わってきた。献上茶は厳選した新芽を手摘みし、機械を使わず職人が丁寧に手揉みする。完成した茶は缶に納め、木箱に入れて関係機関へ届けられるという。
大森も「丹野さんが揉んだお茶を、毎日陛下が飲んでるって。すごい話ですよ、これ」と興奮気味に語った。
さらに丹野氏が披露したのが、官邸訪問秘話だ。
背広にネクタイという正装で、人生初の黒塗りハイヤーに乗車。農水大臣に直接お茶を出し、大臣室にも通されたという。
そこで飛び出したのが、まさかの〝官邸情報〟だった。
「トイレをお借りしました。総理官邸のトイレは総大理石です。多分、民間人は私だけですよ」
負けじと大森も珍エピソードを披露。
「僕のCDを受付に持って行って『献上したいんですけど』って言ったら、『違いますね』と。献上CDなんて無理だって」
献上茶から飛び出した〝献上CD〟の話に、会場は笑いに包まれた。

■「2枚で2000円!」衝撃の〝特別価格〟にファン爆笑

夜のミニライブでは、7月20日に発売したレゲエアレンジ第2弾「LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜/涙のキッス」から2曲を披露した。

CD販売でも大森節がさく裂した。
「今日は1枚1000円なんですけど、今日は特別に2枚で2000円」
割引どころか1円も安くなっていない〝超特別価格〟に客席は爆笑。

また、客席には昨年5月に77歳で亡くなったザ・ゴールデン・カップスのギタリスト、エディ潘さんの夫人も姿を見せた。
大森は「僕がすごく尊敬するギタリストで、ずっとかわいがっていただいた、エディ潘さんの奥さんです」と紹介。
「エディ潘さんがいたから、僕なんかもエレキギターを歪んだ音でやっている。先駆者なんですね」
日本のロックシーンを切り開いた先輩への敬意をにじませた。

■「人のご縁はお店で売ってない」ロックスターと茶名人の友情

大森は「スーパースターでもなんでもないです。普通の人間です」と謙遜し、「丹野さんのほうが偉いんですよ」と茶づくり一筋の職人をたたえた。

一方の丹野氏は「来るもの拒まず、去るもの追わず」と笑顔を見せ、こう語った。
「本当に人のご縁って、お店で売ってないんですよ。つくるものなんです」
時給200円で憧れのレスポールを追い求めた青年と、祖父の背中を追いながら日本一の茶師となった男。
歩んできた道は違うが、「本物を届けたい」という思いが2人を結びつけた。
その縁を生み出した藤原靖弘社長、企画を支えた音楽関係者や地元商店街、そして握手に胸を躍らせた若いファンたち。
かつて夢のギターを買いに訪れた街で、今度は人と人をつなぐ大森。
ギターとお茶から始まった〝どんぶらこ〟の輪は、御茶ノ水の街に新たな縁を生み出した。(文・写真提供@霜月潤一郎)