来年大河の主役・小栗忠順が〝舞台で復活〟! 大西亜里が劇中歌書き下ろし「機内で脚本を読み号泣」元劇団四季俳優、実力派ラッパーら豪華共演

左から大西亜里。アンティカ音楽学院アンバサダーで劇団四季出身。
手塚佳代子。桐蔭学園幼稚園から中学まで出身!高校から音楽へ。
小栗役。劇団四季出身、横須賀出身 武藤寛。
右の2人は現代の若者役。中野美優。天音役。
横須賀出身。ミュージカル女優ぐんまちゃん。 歌のおねえさん。小宮明日翔。志音役。アンティカ音楽学院アンバサダー。

 

2027年のNHK大河ドラマ「逆賊の幕臣」で松坂桃李が演じる幕末の偉人・小栗忠順(おぐり・ただまさ)が、一足早くミュージカルの舞台によみがえった。
小栗の生涯と志を描いた歴史ミュージカル「鉄の意志を継ぐ者 ~The man of iron will~」が10月10、11日の2日間、神奈川県横須賀市の「ヨコスカ・ベイサイド・ポケット」(横須賀芸術劇場小ホール)で計4公演上演された。主催は一般社団法人SASP。文化庁の「劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業」を活用して開催された。

小栗は幕末の江戸幕府で勘定奉行などの要職を歴任し、日本の近代化に尽力した人物。横須賀製鉄所(造船所)の建設を推進し、日本の産業発展の礎を築いた功績で知られる。
しかし、明治維新後は新政府軍によって処刑され、その功績は長く十分に知られてこなかった。来年の大河ドラマでは、激動の幕末を駆け抜けた知られざる幕臣の生涯にスポットが当てられる。

今回のミュージカルは、小栗ゆかりの横須賀を舞台に、現代の若者と幕末の世界を結びつけ、時代を超えて受け継がれる信念を描いた作品だ。音楽を担当したのは、シンガー・ソングライターで音楽プロデューサーの大西亜里。自身が代表を務めるアンティカ音楽学院からも、アンバサダーの小宮明日翔、田川颯眞、手塚佳代子の3人が出演し、大西が書き下ろした劇中歌を歌い上げた。

小栗忠順役には、横須賀出身で元劇団四季の武藤寛を起用。確かな歌唱力と演技力で、激動の時代に信念を貫いた幕臣の生涯を表現した。
劇団四季出身の手塚佳代子は、桐蔭学園幼稚園から中学校まで学び、高校から本格的に音楽の道へ進んだ経歴を持つ。
また、11月に堂本光一の演出で上演される「百鬼夜響」など、EXシアター有明の舞台でも活躍する小宮明日翔が、現代の若者・志音役を熱演。天音役には横須賀出身のミュージカル女優・中野美優が出演した。中野は群馬県のマスコットキャラクター「ぐんまちゃん」の歌のおねえさんとしても活動している。
さらに、劇団四季やオペラ界で活躍してきた実力派に加え、グラミー賞関連企画に選出された経歴を持つ女性ラッパー・COMA-CHIも参加。ミュージカル、オペラ、ラップ、和太鼓などが融合する異色の舞台となった。

キャストやスタッフには横須賀ゆかりの人材を数多く起用。小栗が近代日本の礎を築いた土地で、その功績を再発見する地域色豊かな作品に仕上げた。

舞台終演後にはアフタートークショーも開催され、音楽を担当した大西が登壇。主演の武藤をはじめ、岡本和子、小宮、田川、手塚、中野ら出演者とともに、舞台の裏話や楽曲制作のエピソードを披露した。

小栗の妻・道子役を演じた岡本和子には、意外な横須賀との縁がある。横須賀市長を務めた岡本伝之助の孫で、地元百貨店「さいか屋」の創業者一族でもあるという。

さらに、大西とは国立音楽大学声楽学科の先輩・後輩の間柄。岡本が2学年後輩にあたり、思いがけない縁が今回の舞台で交差した。

会場には、大西の故郷・相模原市から、同級生でもある本村賢太郎市長も駆け付けた。

本村市長は、自身も小栗忠順の名前を知らなかったと明かし、横須賀から日本経済の発展につながる偉業を成し遂げた歴史上の人物がいたことは大きな学びになったと感想を語った。さらに、来年の大河ドラマを見る楽しみも増えたといい、知られざる偉人の生涯に関心を寄せた。

今回の作品に強い思いを込めた大西は、楽曲制作の舞台裏を明かした。

「私が学生時代、歴史の教科書に小栗忠順さんは登場していなかったので、そのお名前すら、このミュージカルのお話を頂くまで存じ上げませんでした。でも、17歳の息子は中学時代に習って、その名前を知っておりました」

世代によって歴史上の人物の認知度が異なることに驚いたという。

さらに、大河ドラマ化が決まる以前から小栗の功績に注目していたプロデューサーの小宮里美氏についても言及した。

「大河ドラマが決まる前から、小栗の凄さに着目していたプロデューサー小宮さんの手掛けた脚本を、イギリスから日本へ帰る機内で読み、人目も憚らず号泣しました」

その感動は、帰国後の楽曲制作にも大きな影響を与えた。

「帰国してすぐ作曲に取り掛かり、自分が技術的に創ったメロディではなく、天から降りてきた、私の身体を通して音楽のメッセージが降り注いできた、そんな感覚で仕上がった楽曲たちです」

作曲家として培ってきた技術を超え、歴史上の人物の魂に突き動かされるような創作体験だったという。

大河ドラマの放送を目前に控え、にわかに注目を集める小栗忠順。歴史の陰に埋もれていた幕臣の〝鉄の意志〟が、横須賀の舞台から令和の日本へと受け継がれた。

そして、小栗の功績を伝える動きは、これで終わらない。

12月26日には群馬県高崎市で「小栗上野介を知る〜3世代で楽しむ年の瀬ファミリーコンサート〜」が開催される。詳細は11月1日、主催する一般社団法人SASPの公式サイトで発表される予定だ。

さらに、2027年にはミュージカル「鉄の意志を継ぐ者」の東京公演や、各地でのコンサートも予定されている。最新情報は公式サイトで随時発表される。

大河ドラマの放送を控え、幕末の知られざる偉人・小栗忠順の〝再評価〟が、音楽と舞台を通じて全国へ広がっていきそうだ。
https://sasp2018.org/