これはさすがにヤバい? もう令和だけど『昭和』の死語「マブい」「ターボ」「~マン」を使う人|中川淳一郎

今でも売られている「TURBO」エンブレム(画像はAmazonから)

「使うと年寄り認定される『昭和言葉』ランキング」が4月上旬、ツイッターで話題となった。これは、元々gooランキングに掲載されたものだったが、これの貼り紙をツイートした「みゃーきち」氏のツイートが3万5000超のRTをされるなどした。

そこには「ナウい」「アベック」「チャンネルを回す」「A面・B面」「冷コー」「チョッキ」「ズロース」「ガビーン」などがある。これらは確かに今は使わなくなったものの、もう少し地味なもので使わなくなったことばを発掘したくなった。

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まず、「ターボ」という言葉がある。1980年代の車は「ターボエンジン」がイカしているとされており、ターボエンジンを積んだ車は、わざわざ車体の横側に「TURBO」と書かれていた。今考えるとどう考えてもダサいのだが、車=ステイタスだった時代の名残ともいえ、微笑ましい。

この言葉は小学生の間でもよく使われており、運動会のリレー等で、ぐんぐんと追い上げるクラスメイトの姿を見ては「山田の野郎、ターボかけてきたぞ!」などと使っていた。あとは、クラブ活動で走っている時、教師の監視がない場所ではチンタラと走り、教師の姿が見えそうになったら「おい、そろそろターボかけようぜ」と話していた。

今ではイケてる男というか、ルックスの良い男のことをイケメンと呼ぶが、「ハンサム」が使われていた。野球選手などに対しては「甘いマスク」が使われ、元阪神タイガースの中田良弘は「和製トラボルタ」と呼ばれていた。要するにジョン・トラボルタに似ているということだ。それにしても、高校野球で長身の右投げピッチャーが登場すると「宮崎のダルビッシュ」「東北のダルビッシュ」とかなるのは一体何なのだ!

男については、「かっこつけマン」という言葉もあった。この「マン」については、ウルトラマンからキン肉マンの系譜で使われていたのではないだろうか。学校でうんこをしていたら「うんこマン」で、金持ちの家の息子は「リッチマン」だった。忘れ物ばかりするヤツは「忘れ物マン」とも呼ばれていた。

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中学生にもなると、乱暴な言葉を使うとカッコいいとされていた。それこそ、「マッポ」「先公」「マブいスケ」などがそうだろう。『こちら葛飾区亀有公園前派出所』では、主人公・両津勘吉が原宿のおしゃれな喫茶店の手伝いをしたところ、軽薄な若者に嫌気がさし、バンカラかつ硬派な喫茶店にしてしまうという回がある。この時「レスカ」や「アイミティー」という言葉が出たが、これは「レモンスカッシュ」と「アイスミルクティー」の略である。こうした略語を使うのもカッコいいとされた。

こうなってくるとまったく脈絡もなく様々な言葉が出てくるが、突然思い出したのが「ディスコでフィーバーイェーイェー!」というフレーズである。当時の子供達は、高齢者がディスコのことを「デスコ」と呼ぶのをバカにしていたが、なーにが「ディスコでフィーバーイェーイェー!」だ。お前らも十分ダサいだろ。

ほかにも「そういえば最近聞かないな」な昭和フレーズを最後に列挙しよう。

・もっこり
・汽車
・この印籠が目に入らぬか! 入るわけないだろ
・ともだちの輪
・スケコマシ
・色男
・ビフテキ
・外套
・ほったいもいじくるな
・ハクいスケ
・イマい(ナウいと同義)
・今何時? 肥満児

(文◎中川淳一郎 連載『俺の昭和史』)