リプニツカヤより美少女? 李子君に注がれる日中ネット住民の熱視線

 ソチオリンピックが終わった。中国ではいったい誰が最も注目を浴びたのか。終わった時点で中国版ツイッター「微博」を通して眺めてみると、種目としては「フィギュアスケート」。なかでも金妍児(キム・ヨナ)、浅田真央や羽生結弦への注目度が高いことがわかる。

 バンクーバーの女王としてやはり金妍児は人気があるが、風当りも強い。その一方で、その彼女と対等にわたりあうだけのネームバリューと実力を持つ浅田真央に対しては、好意的な声が圧倒的に多い。

「真央」は中国語では「ジェンヤン」と発音するが、日本語の音である「マオ」に発音が近くてしかもかわいい「猫」を使って彼女について語る人も少なくない。ショートプログラムの後は、失望や、浅田選手への励ましの言葉が溢れ、フリープログラムの後はたくさんの人が「感動した」「これで最後なんてさびしい」とつぶやいた。

 羽生結弦は今回金メダルを獲得したことに加え、王子様然としたルックスのせいもあってか、閻涵(イエン・ハン)をはじめとする中国の男子シングル選手や長く世界王者として君臨してきた中国系カナダ人のパトリック・チャン(中国名は陳偉群)よりも注目度が高い。こちらも人によっては日本語の「はにゅう」の音に近い「哈牛」で表記していて、過去の、あるいは最新の微に入り細を穿つ写真や動画、情報が更新され続けている。

 ちょっと不思議な注目のされ方をしているのが、中国女子シングルの選手、李子君(リ・ズジュン)だ。大量のつぶやきの多くは、同じ内容を含んでいる。

「李子君は日本で人気が急上昇している」

「日本のオタクもすでに李子君に夢中」

「(日本では)『もう俺、中国の悪口は言わない』という人も」

 たしかに彼女はかわいい。今年は17歳になって背も伸び、少しふっくらしてジャンプなどの調整で苦労したが、元々技術も高い。シニアの国際大会に出初めの15歳のころなど、いまよりさらに愛らしく、しかも中国のシングルの選手には珍しく、楽しそうに滑っている姿は多くの人の心を動かした。

「かわいい」「可憐」「一生懸命」……日本のファン心理をくすぐりそうな要素がそろった選手であり、人気が出るのも当然かもしれない。

 しかし、なぜ「日本で人気」であることが話題になるのだろうか。ちょっと意地悪な解釈をすれば、中国人の優越感をくすぐるということかもしれないが、そればかりでもなさそうだ。

「すごいな。大日本帝国を征服したのか」

「日本人も彼女を”色が白くてかわいくて、脚が長い”と言っている。中日はついに長い脚をめぐってわかりあうことができた!」

「中日友好大使だな」

「日本人は見る目があるな」

 なかには「小日本(日本人を貶める言い方)に好きになってもらわなくてもいい」などという頑なな発言がないわけではないが、大部分は「かわいいものはかわいい」と同調するもの。未熟さを指摘する声も多いが、それでも「浅田や金の後を継ぐ存在になってくれれば……」という期待が大きい。

 初めてのオリンピックでの成績は14位。日本のファンも、もちろん中国のファンも、3月末の世界選手権での彼女の活躍に注目している。

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Written by 劉雲

フィギュアスケート日本女子ファンブック

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