【未解決事件の闇6】失踪した女性編集者、北朝鮮でよど号関係者と接触か!?
特集ルポ:未解決事件の闇6 ~伊勢・女性編集者失踪事件
辻出さんは北朝鮮に自ら渡り、よど号グループへのインタビューに成功した後、姿を消したと調査会のM氏は語っていた。また、彼女が仲間とやりとりしたMLの書き込みには、「よど号の赤城さんと一緒に迎える新年というのもいいのでは?」とか「平成版よど号である〇〇エアーハイジャックツアー」という文言があるのは確かである。
また中朝関係者からの未確認情報によると、よど号グループのいた村に彼女が滞在していたという噂も聞いている。
特定失踪者問題調査会からの話だけではわからない情報もあるかもしれない。というか政治的な敵対のせいなのか、それとも単に調査が及ばないだけなのか、調査会がよど号ハイジャック犯(よど号グループ)にアクセスして辻出さんのことを直接訊ねた形跡もない。よど号グループは、朝鮮政府の監視下に置かれ文筆活動などをしながら平壌市内に生活している。80年代には北朝鮮政府の駒となり、日本人拉致に一役買ったとも言われているが、彼らは拉致への関与を明確に否定している。北朝鮮政府の不利になるようなことはおそらく言わないし、言いたくても言えないはずだ。
だからといって、何もアクセスせず、辻出さんがインタビューしたのかどうかを確かめないのは片手落ちのような気がしてどうもならなかった。平壌へ旅行に行き運が良ければ会えるのかも知れないが、そのために4泊5日で30万円などという高額な旅行代金を出すのは躊躇してしまう。
あるとき、「かりの会」という支援者グループが国内に存在していて、ウェブサイトを持っていることに気がついた。しかしメール・アドレスはなく、私書箱の番号だけがあった。そこで関係者をさがしたところ、「かりの会」のメンバーとともに訪朝し、よど号グループに面会した様子を自らのウェブサイトで紹介している人に行き当たった。その人物のウェブサイトにはメールアドレスが記されていたのでさっそく問い合わせてみた。すると数日後、すると次のように返事があった。
「調査会の誰が言ったのかわからないけど、身に覚えのない拉致の罪を受け入れることはできないというのが彼らの立場です。とりあえず西牟田さんの文章はそのまま窓口に転送させていただきます。その後、連絡を待ってみて下さい。僕からは『かりの会』の定期集会をご紹介しては、と提案しておきます」
その後、集会に呼んでもらえる機会を待ったが一向に返事がない。そこで、私書箱宛てに辻出さんの写真を同封して「この女性を見たことがあるか」と手紙を出してみた。すると、はがきで、写真をピョンヤンに転送して問い合わせている、という旨の回答が届いた。
はがきが来てから半年以上が経ったが、今のところ、何の音沙汰もない。
▲失踪直前に訪れたタイ旅行での写真
Written&photo by 西牟田靖
謎だらけの北朝鮮。