『フラガール』 アイドル女優たちが繰り出すしなやかな衝撃 乃木坂46井上小百合、AKB48太田奈緒、矢島舞美ら共演
時は昭和40年(1965年)、物語の舞台は炭鉱の街・福島県いわき市。前年の東京オリンピックに象徴される高度経済成長とは裏腹に、昭和37年(1962年)の原油輸入自由化が転換点となり、街の繁栄を支えた石炭産業は急速に衰退していた。
オリンピックと中央の繁栄、地方の衰退、そしてエネルギー問題――映画の公開から東日本大震災と福島原発事故をはさみ、来年の東京オリンピック・パラリンピックを控えた2019年の状況で見ると、歴史の示唆を感じずにはいられない。
とはいえ、作品自体はメッセージ性を前面に出したものではない。何をどう感じるかは観る側の自由に委ねられている。あるいは作品の純粋な面白さが、こちらの想像力を刺激してくれるのかもしれない。
また、こうした時代を背景に、女性の社会進出というもうひとつの大きなテーマを熱演で描いた女優陣の姿に、マララ・ユスフザイ、ナーディーヤ・ムラード、グレタ・トゥンベリといった人々の姿を重ねるも重ねないも、まったく観る側の勝手だ。