タイ洞窟救出劇のヒーローが感染症で死亡 『タムルアン洞窟救出作戦』で一躍時の人なった彼らはその後どうなったのか――

一方、洞窟から救出された少年サッカーチーム「ムーパー・アカデミー・メーサーイ」(メーサーイ・イノシシ・アカデミー)の12人とコーチは直ちに入院の後、イスラム教徒の1人を除く12人が寺で短期間の出家をしました。昨年9月にようやくサッカー場での練習を再開。

その前の8月には無国籍状態だった少年3人とコーチに対して、晴れてタイ国籍が与えられたという嬉しいニュースも伝えられました。

13人は海外に招待されるなど有名人同然となり、中にはインスタグラムにフォロワーが15万人もいる子も出ています。救出劇を描いた映画「The Cave」(トム・ウォラー監督)の制作にあたっては少年ら一人一人に多額の金銭が支払われたとの噂も流れました。

 

コーチのエーカポン・チャンタウィンさんは今年3月、独断で行ったことでチームに損害を与えた責任を取りたいとしてサッカーチームを辞して、夢だった自分の少年サッカーチーム「エーカポン・アカデミー」を立ち上げました。

エーカポンさんの新チームは盛況のようで精力的に試合に出場しています。さらにはチーム歌の動画まで制作してYouTubeに投稿するなど熱心な活動ぶりが伝わってきています。

 

最後に救出活動の舞台となったタムルアン洞窟のその後をお伝えしましょう。

救助に使われて洞窟内に残されたままになっていた機材の搬出作業が水位の下がった今年3月に海軍特殊部隊の手で行われました。とくに空気ボンベは400本が残されたままになっていましたが、依然危険な区域にある40本を残して全て搬出を完了しています。

洞窟のそばには救出活動で最初に命を落としたサマーン・グナンさんの銅像が建てられました。その足元には少年サッカーチームの名にちなんでイノシシの姿もあります。また救出活動を伝えるためのパネルや救助器具が展示された施設まで建てられました。

 

この施設を皮切りにタムルアン洞窟観光地化のために各方面から予算がつぎ込まれ、道路や碑が整備されました。現在は洞窟の「第1広間」まで観光客が立ち入れるよう整備作業の真っ最中です。

タムルアン洞窟は、タイ・ミャンマー国境の観光地メーサイへ向かう途中に位置するため、整備がまだ完了していないものの既に観光地化が進み、沿道には土産物を売る露店が立ち並ぶほど様変わりしました。この年末の休み期間には既に1日に1万人がタムルアン洞窟に観光に訪れる活況を呈しています。

 

世界が注目した世紀の救出劇が最終的にもたらしたものは、新たな観光地の誕生だったようです。(取材・文◎赤熊賢)

 

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