映画化決定? 「名前のない女たち」に業界内から非難の嵐

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 ルポライターの中村敦彦氏が企画女優、企画単体(キカタン)のセクシー女優たちをインタビューした「名前のない女たち」(宝島新書)が炎上している。本というより中村敦彦氏が、といっても良い。中村氏は「ルポ 中年童貞」(幻冬舎新書)や「職業としての風俗嬢」(宝島新書)なども出版。出身はエロ本だが、現在は介護関係や世の中の弱者にスポットを当てた作品を出すライターとして知られている。

 セクシー女優インタビュー集というと、故・永沢光雄著「AV女優」(文春文庫)をまず思い出す。著者がひたすら酔っ払いながら有名セクシー女優にインタビューをし、「永沢文学」とも言うべきものに組み込んでいったルポである。

 本橋信宏著「AV時代 村西とおるとその時代」(幻冬舎アウトロー文庫)も出色だ。約30年前のセクシービデオ黎明期から最盛期まで、村西とおる監督を通して自叙伝的に描いた、これも「本橋文学」と言ってよい作品である。

 多かれ少なかれ、インタビュー物は抗議が来る可能性が高い。特に、AV業界は親バレの心配など、デリケートな世界である。

 が、今回は女優が校正(印刷前に確認するための見本)を見ていないという。当初は、AV業界内では中村氏の「名前のない女たち」は「ネタ半分くらい」ぐらいの感覚でいた。しかし、AV出演強要問題がフィーチャーされて弁護士も「名前のない女たち」を参考資料として取り上げ始め、余計に「名前のない女たち」が業界内に広まった。恐らく影響力も得たと思われる。それが、「ゲラチェックをしていな=事実確認に問題がある」という事態になれば、問題である。

 映画化に関しては、一応、著者に知らせが来るものだ。漫画を原作にした映画などは特に、である。しかし、今回は漫画を原作にしたというケースではないので中村氏が映画に最初からかかわっていたとは考えにくい。
 AVや介護や弱者などデリケートな題材を扱っているだけに今回の件に関して、中村氏嫌いの人が乗っかっているという状況も一部見かけるものの、中村氏の今後の発言などを注視したい。(編集部)

《参考資料》名前のない女たち最終章(宝島社)