田園都市線の死角・通り魔事件の梶が谷のトンネルを歩いてみた

 

 東急田園都市線は、若い主婦や学生が憧れる路線と言われている。通称ニコタマと言われる二子玉川園駅とかつて「あざみねーぜ」と言われたニューセレブが住むあざみ野駅との中間に、梶が谷駅がある。梶が谷駅も、この路線の駅にもれず、田園都市線らしい新興住宅街だ。

 そこに思わぬ、「トンネル」があった。そのトンネルは昔から住民が気になっていたトンネルだった。昼間でも薄暗く、この時期の夕方ともなれば、写真の通り真っ暗だ。人通りもほとんどない。事件後、トンネルが明るくなるように壁に絵を描いたり、照明をつけたりしたのだが、それでもこの寂しさだ。(写真1)

写真1・帰宅時間の午後5時から6時でも
歩道を通る人はおらず、自転車で車道を通る人。

 平成18年9月に神奈川県川崎市宮前区のアルバイト女性が通り魔に襲われ亡くなった。時効も覚悟していた11年後、別の事件で服役していた男がこの事件の容疑者として逮捕された。

 このトンネルは、梶が谷駅を地元とする人だけでなく、田園都市線に昔から住んでいる人たちにとっては密かに有名だった。曰く、「あのトンネルは怖い」と。
 編集部はどのようなトンネルなのか、実際に歩いてみた。時刻は午後5時。実際に事件が起きたのは夜12時。午後5時でも既に辺りは暗い。(写真2)

写真2・トンネルの入り口。車通りは比較的多い。
近くに国道246号線が通る。

 ここを通るのは男でも、さらに一人では余計不安だ。女性だった被害者の方はどのような気持ちだったのだろう。ここを通勤路としていたとは言え、不気味だったに違いない。 

正面から刺された被害者の方だが、写真のように歩道は狭い。ここをすれ違うのは、相当怖いだろう。そして、不安が現実になってしまった。(写真3)

写真3・歩道はかなり狭い。すれ違うのは怖いだろう

 男性編集部員が普通にトンネルを渡ったところ、約3分だった。女性の足だと4分というところか。わずか4分での凶行だった。

 事件後も写真のように、住民たちはこのトンネルを使うが、編集部が見ていたところ歩行者は帰宅時間の午後6時になってもゼロだった。車か自転車で車道を走っていた。歩行者はなるだけ通らないか、トンネル自体を車道にするなどにしても良いのかも知れない。都会の死角、落とし穴的な危険な道はまだまだある。最後になりましたが、被害者のご冥福をお祈り申し上げます。(編集部)

どんな事件でも被害者と遺族がいることを忘れてはらない。