伊藤詩織さんの民事裁判が始まったので訴えられたジャーナリスト・山口敬之氏の主張を改めて検証してみた

Black Box(文藝春秋社)

もし訴えが本当だったらとんでもない事です。週刊新潮のスクープが発端でした。
望まない性行為を強要されたとして、フリージャーナリスト・伊藤詩織さんが5日、元TBS記者でフリージャーナリスト・山口敬之さんに対して民事裁判を起こしました。

山口さんはこの「事件」が出るまでは安倍晋三首相に近い存在として、テレビ・ラジオへ多数出演。有名ジャーナリストです。
テレビ番組では生放送にもかかわらず、いきなり共産党議員に怒鳴ったり、エキセントリックな印象です。いきなり怒鳴るところは青山繁晴参議院議員にも通底していますが、それはここではよいでしょう。

この問題が大きくなったのは、レイプ被害への捜査や検察審査会のあり方を検証する国会議員による「超党派の会」が発足した事にもよります。これで俄然、注目を浴びました。民進、立憲民主、希望、共産、日本維新の会、自由、社民、沖縄の風の野党各党・会派から約20議員が出席しました。

概要は「伊藤詩織さんが山口さんに仕事の相談をしたいということで、食事を二軒ともにした。二軒目で正体をなくした。気がついたら山口さんの定宿らしきホテルの一室だった。その間、性交渉を持った。気がついてからも抑えつけられ強引に乱暴された」というものです。

伊藤さんの被害届を受理した警察は、刑事事件として捜査していたのですが、逮捕状が出る直前で中止。結果的には不起訴処分となりました。

そこで伊藤さんは民事裁判に打って出たという訳です。今回、被告席に山口敬之さんの姿はなく、直接対決はなかった訳ですが、山口さんは花田紀凱「月刊HANADA」編集長のネット番組に出て、思う存分主張しています。

「元キャバクラ嬢」を連呼する理由は何なのでしょう

山口さん曰く、出会いはこんなに感じです。
『NYのいわゆるキャバクラ。仕事終わりで友人と行った店で。キャバクラ嬢として私の横にたまたま。もともと隣に座られたのでキャバクラですから。仕事の話になりますよね。そしたらジャーナリスト志望と言う事がわかった』

僕はバイトでキャバクラ嬢をしていた優れた編集者、記者、ライターの女性を何人か知っています。最近はキャバクラでバイトなど普通という感覚です。山口さんが連呼する理由は何なのでしょうか。「所詮キャバ嬢じゃん」と下に見る感じがあったように思うのは僕だけではないはずです。

それから饒舌にしゃべる山口さんですが、中略します。問題は日本で飲んだ時の事です。それまでは伊藤さんの事を「物凄く押しが強くて、しょうがないから」という雰囲気だったと言っています。ジャーナリストになりたいから、積極的にテレビ局の人にアプローチするのが悪いみたいな言い方ですが、それのどこが変なのでしょうかね。

初めて飲んだ女性が正体もなく酔ったらホテルに連れ込みますか?

続いていよいよ、問題の恵比寿の店、二軒目です。
『恵比寿の店に連れていった。下心があるとすれば、行きつけの店で高校の時から。また家族としても行っている店。そういう店には下心では行かない』
『照明が明るいのでもしデートレイプドラッグなるものを隠して飲ませる目的だったらそういう店にはいきません。彼女が作り上げたているストーリー』

口説く目的かどうかは分かりません。その時は口説く感じではなかったのでしょう。多分。

その後、紫蘇サワーやワイン、日本酒などをガンガン伊藤さんは飲んだと言います。二軒目の寿司屋でトイレで倒れてしまいます。

10時過ぎに店を後にしたらしいです。正体がなくなった伊藤さんをタクシーに乗せるとタクシーの中で嘔吐してしまったと。で、そこから山口さんは定宿にしているホテルに泊まる事にします。

が、防犯カメラに写っている伊藤さんは少し、ふらついていますが足取りはしっかりしていたと山口さんは言っています。

このあたりから話がおかしくなってきます。

足取りがしっかりしてるのだったら駅まで送っていくか、タクシーに乗せれば良いではないですか? シェラトン都ホテルを定宿にするぐらいのお金持ちなのですからタクシー代1万円ぐらい、運転手に渡せばよかったのではないですか?

因みにシェラトン都ホテルのホームページでは「スタンダード 1名様¥32,076」になっています。高い! 

でもさすがTBSワシントン支局長。

刑事でダメなら民事で決着をつけるというこの裁判。野党が予算委員会で質問するなどかなり飛び火するようです。

文◎久田将義