【改正風営法】浄化作戦によって歌舞伎町から『影』は消えたのか?【無機質になりゆく新宿】

浄化状態は強く維持されている

側杖を食った形となったこれら「優良店」は歌舞伎町から強制退場させられたのだが、だからと言って性風俗が一掃されたワケではなかった。そのほとんどが1999年にふたたび大幅改正された風営法で届け出が認められた、派遣型風俗へと鞍替えをすることになっていく。

この竹花流の荒療治が歌舞伎町に与えた影響は強く、現在に至るまで歌舞伎町の浄化状態は強く維持されている。というのも、警察には先人が残した「業績」は守るという伝統があり、竹花氏が残した歌舞伎町の業績を後輩たちは連綿と守っていく。これは一種の義務でもあり、横浜・黄金町のちょんの間を壊滅させた、当時の県警本部長の業績を神奈川県警が後生大事に守っているのもそうだ。もっとも、警察庁生活安全局長という役職で退官し、某大手家電メーカーに天下った竹花氏がその「業績」に見合った待遇、と納得しているか否かまではわからないが……。

とまれ、石原都政以前に百花繚乱の如く咲き誇った店舗型風俗は、1985年の新風営法以来の老舗を除いてすべて消え去った。そして、その一部が前述したように派遣型風俗へと鞍替えしたわけだが、その時期から届け出をしない(というより出来ない)違法風俗が歌舞伎町には目に見えて増加した。

イメクラや性感の台頭で鳴りを潜めていたホテトルもそうだし、それ以上に「援デリ」というSNSを使った”援助交際型”風俗が登場した。特に「援デリ」は歌舞伎町風俗のメインに躍り出そうな勢いである。が、一見援助交際を装ってはいるが、援デリが事実上は一種の管理売春であることに違いはない。

確かに表面上、歌舞伎町は浄化された。

しかし、80年代の亡霊のような深刻なぼったくり店は横行し、風俗で働く女の子たちはセキュリティー面では「?」が付く営業形態に仕事場を求めざるを得ない。客にしたって同じことだ。歌舞伎町浄化の是非は、いまいちど厳しく精査されるべきではないだろうか。(取材・文◎鈴木光司)