外国人観光客が多い県、日本人観光客が多い県、ワースト3にランクインしたヤバい県

<表1>
国土交通省「訪日外国人消費動向調査 平成28年」の「国籍・地域(21区分)別 都道府県別訪問率」をもとに、筆者がランキング化しています。全体訪問率は国籍・地域別訪日外客数を加重して算出されています。



<表2>
国土交通省観光庁「共通基準による観光入込客統計 平成28年:年間値」の「県内・県外別、宿泊・日帰り別の観光入込客数(千人回)」をもとに、筆者がランキング化しています。

 つい先日、約20年ぶりに山梨県の富士急行線を利用する機会がありました。休日ということもあったと思うのですが、始発の大月駅には外国人観光客がひしめいていて歩くのも一苦労なほどです。20年前に利用していたときは、人もまばらで座れないことなんてなかったのに…。しかも、当時に見かける外国人といえば、明らかに出稼ぎだよねという風体の方たちだけだったのに…。「インバウンド」という言葉をリアルに感じさせられた瞬間でした。

 そこで今回は「外国人観光客に人気の地域」について調べてみました。表1は国土交通省観光庁が調査した訪日外国人観光客の都道府県別訪問率で、調査対象は「トランジット、乗員、1年以上の滞在者等を除く日本を出国する訪日外国人客」となります。

 外国人観光客の訪問率1位は東京で、2位は千葉県となっています。少し意外かもしれませんが、千葉県には成田空港や東京ディズニーランドがあることを考えれば順当で、基本的に外国人観光客の出入り口となる国際空港のある地域は上位にランクインしている印象です。それを踏まえると、国際空港のない京都が4位に食い込んでいて、やはり外国人人気が高いことが伺えます。
 前述した山梨県は12位で、訪日外国人観光客のゴールデンルートと呼ばれる東京・箱根・富士山・名古屋・京都・大阪に名を連ねていることが高順位の理由なのでしょう。

 一方、ワースト3位は高知県、ワースト2位は福井県、ワースト1位は徳島県となっています。約4万人の訪日外国人観光客に対して、高知は65人、福井は61人、徳島は47人しか訪問者がいません。確かに、これらの県で外国人ウケしそうな観光資源を思い浮かべようとしても、パッと出てこないような気がします。坂本龍馬って言われても、外国人は「誰、それ?」となりそうですし…。福井は東尋坊とか? 徳島県は阿波おどりなんでしょうけど、正直なところ微妙だよなと。そりゃ、赤字で破綻もするわ。

 ちなみに、日本人(日本に在住する人)が観光でよく訪れる地域も調べてみました。表2は国土交通省観光庁の「共通基準による観光入込客統計」というデータで、官公庁が定めた基準(観光地点や行事・イベントなど)で各都道府県や市町村が訪問者数を集計したもの。また、表の調査対象はビジネス利用者、日本以外の国に居住している訪日外国人客を省いています。

1位はやはり東京なのですが、2位はなんと埼玉県。外国人観光客の訪問率では22位と振るいませんでしたが、日本人の観光客数は大阪や京都を抜くという偉業を達成しています。その理由は、県内在住者、県外在住者ともに日帰りの旅行者数が圧倒的に多いこと。とくに県内在住者の日帰り旅行者数は約7万人となっていて、どれだけ地元が好きなんだと…。

 そして、表2のワースト3位は徳島県、ワースト2位は岩手県(表1では37位)、ワースト1位は鳥取県(表1では37位)と、外国人観光客の訪問率で下位の地域がランクインしています。とくに外国人観光客の訪問率のワースト1位に輝いた徳島県は、日本人の観光客にも人気がないという惨憺たる状況で、本当に「大丈夫か?」と心配でなりません。徳●新聞に卸すよりも、もっと観光客に向けたチケット販売の努力をしろよ、という話ですね。
 とはいえ、最近の日本で有名な観光地はどこへ行っても混雑していて、イライラさせられることもしばしば。このランキングを参考にして、あえて観光客が少ない地域に出かけて、ゆったりとした旅行を楽しんでみてもよいのでは?(文◎百園雷太)