逃げる100人超の不法就労者、追う入管当局の緊迫映像! この世ではまだ沢山のことに遭遇せざるを得ない

 韓国の田園風景の中を何十人ものタイ人が走って逃げている…。その様子を一人のタイ人男性がfacebookでライブ配信した動画がタイのSNS上で多くシェアされ拡散しました。6月21日のことです。

 実は逃げているタイ人は全員、不法就労者。逃げている相手は突如やって来て不法滞在タイ人を捕まえ強制送還しようとしている韓国入管当局です。

 この動画投稿には「4×100、足の速い者が逃げ切れる。この人生まだ沢山のことに遭遇せざるを得ない」とのタイトルが付いています。4×100とはここの農作業場の宿舎数×収容人数なのか入管の護送車台数×収容可能人数なのか定かではありませんが、いずれにしても大規模な摘発であったことは想像できます。この日、100人が連行されたとか。

 実は今タイでは韓国での不法就労がブームの様相を呈しており、facebookやLINEで多くのブローカーがおおっぴらに参加者を募っています。タイ人の韓国渡航は観光目的の場合、90日以内はビザ無しなのですが、到着空港での入国審査を無事に通過できるようにタイでの偽の就業証明書や社員証を用意し、マンツーマンで入国審査官との問答を練習させる業者までいます。

 不法就労希望者はそういったブローカーを通して申し込み、不法就労用のツアーで入国して空港に迎えに来た業者の車で仕事先に直行したり、普通のツアーに参加して旅程の終盤で姿をくらますといった方法を採っています。そのため一部のツアーにはデポジットを要求してタイ帰国後に返金することで不法就労目的の参加者を防止しているものまであるほど。

 不法就労先で多いのは農作業で、5~9月の農繁期には韓国人を使うのに比べて半分から3分の1の費用で雇える不法就労タイ人の需要が特に高まります。性的サービスもある「マッサージ」の場合、賃金は農作業の3~6倍になりますが、色々と理由を付けて差し引かれるようです。

 バブル期に日本へ出稼ぎに来ていた不法就労タイ人を彷彿とさせる話ではないですか。

 ちなみに話題となった動画投稿には、タイ人から様々なコメントが寄せられています。

「多くの人はタイ国内で働いたほうがいいと言う。勤勉で、仕事を選ばなければ暮らしていけると。でも僕は人によって資質もお金の必要度合いも違うと思う。行けたのなら全力で頑張れ。不法就労に行って来た者より」

「この手のヤツと口論したことがある。ヤツは恩着せがましく、俺らがタイにいくら送金したと思ってるんだと言ってきたが、お前らは国に税金を払ったことがあるのか? タイ国民はお前らから何ら利益を得ていないぞ。それなのに問題が起こると国と国民に助けを求めやがる」

「タイに外国人が合法的に仕事に来てもタイ人の仕事を奪うなと非難するのに、タイ人が違法に出稼ぎに行ったら応援するっていう…」

「韓国観光で入国審査をすんなり通過したい人が可哀想に思える時もあるよね」

「クソ野郎のせいで他の人が困っているんだ。国の名を汚してくれたよ」

 このような不法就労タイ人が韓国国内に5万人以上いると言われている状況に、韓国当局がそのうちビザ無し観光措置を停止、なんてこともありえなくはない話ですね。(取材・文◎赤熊賢)