もしも、不法滞在中の外国人がコロナに感染したら…? ベトナム人女性の裁判で感じた日本が抱えるリスク

週に28時間、というと制限いっぱいまで働いても月に110時間ほど。

彼女の場合は、友人に紹介してもらったラーメン屋でアルバイトをしていました。時給が仮に1200円だったとして、月収は額面13万2千円です。かなり苦しい生活を強いられることは容易に想像がつきます。家族からの仕送りがあれば別ですが、それができるほど裕福な家庭ばかりでもありません。

もちろん、留学生の資格で来ている以上、仕事ばかりで学業がおろそかになっては本末転倒です。ただ、出稼ぎが目的で留学生資格で来日する者も多数いるのも事実。その点、彼女の場合は学業もきちんとこなした上でアルバイトをしていました。

それでも在留期間更新の申請は却下されました。

「ビザがおりなくて驚きました。でもやっぱりまだ日本にいたくて、あまり深く考えずにオーバーステイしてしまいました」

彼女は日本に憧れを抱いて来日しました。せっかく手にした日本での生活をそう簡単に手放したくなかったのです。

「まさかこんな大事になるとは思わなかった」

とも供述しています。

警察官からの職務質問がきっかけで現行犯逮捕されたのが令和2年2月7日、裁判が開かれたのが同年4月9日です。

2ヶ月の間、彼女は身柄を拘束されていました。

ベトナムでも日本でも前科や前歴のなかった彼女にとって、2ヶ月の身体拘束は非常に辛いものがあったと思います。

今後はベトナムで仕事をしていく、と話していましたが

「いつかまた日本に来たいと、とても思ってます。戻って来たいです」

という希望も口にしていました。

犯罪者としてベトナムに強制送還され、長期入国拒否者になった彼女の希望が叶う日は、残念ですがおそらく来ません。来たとしても何年も先のことです。

 

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