ニッポン放送「女性の職業への配慮に欠ける発言がございました」と謝罪 岡村発言があぶりだした社会に潜む無意識の差別

無論、この一文でことが収まるワケもなく、当初は東京スポーツ(4月27日)の取材に対して、「番組の中で起きたことなのだから、まずはニッポン放送さんに聞いてください」などと、やや木で鼻を括ったような対応を見せていた吉本興業も、5月1日に岡村隆史本人に釈明させざるを得なくなった。所属事務所の対応と世論の乖離を見ると、昨年起きた一連の“吉本騒動”はなんだったのか? と言いたくなるが、いまはそれに触れまい。

有り体に言って岡村発言は、例えウケを狙ったものだとしても、論外でありなんとも言い繕えるものではない。強いて言えば「それが(岡村の)ホンネだし、そう思っている男もいるのではないか」と開き直る方法も無きにしも非ずだが、その瞬間に彼の芸能人生は幕を閉じる。やはり、ここは平謝りに徹し、あとは“芸能界の論理”でテレビを利用して、幕引きを図ることになるのであろう。

そうなると、あとはこの岡村発言の直接の被害者(?)となる女性たちの立場だ。今回の発言が貧困問題の当事者たちに及ぼす影響については、すでにNPО法人ほっとプラス理事・藤田孝典氏などの専門家が積極的に発信しているので触れない。ここでは、もう一方の「当事者」である風俗嬢について考えてみたい。その一端を見るには、4月28日の橋本聖子女性活躍担当相の定例会見での言葉がわかりやすい。

橋本大臣は、ひとつひとつの芸能人の発言には「コメントを控える」としつつも、「さまざまな思いがあると思う。そうした発言がなされないような取り組みを、しっかりやっていかないといけないと改めて感じます」とやや論旨不明に述べた後、「政府として、女性が貧困によって望まない仕事に従事することのないようにしたい」と話したのだ。

つまりはこの場合、貧困によって望まない仕事=風俗業ということである。長年、風俗業界を取材してきた筆者から見ても、確かにそのようなケースがあるのは事実だ。一方で、「お金を貯めたい」「欲しいものが買いたい」という理由からこの仕事を選ぶ人もいる。当たり前であるが、世の中はそんなに単純なものではない。

 

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