交際相手とのベッドシーンを販売した男が逮捕 人権侵害にもかかわらず驚くほど軽い求刑
絶対に断りましょう!(写真はイメージです)
わいせつ動画を売った大嶺秀章(仮名、裁判当時37歳)は3つの罪で起訴されていました。
わいせつ動画の広告を打った行為が「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律違反」、売った行為が「わいせつ電磁的記録等送信頒布」、売る目的地で動画を保管した行為が「わいせつ電磁的記録有償頒布目的保管」に当たるとされたのです。
起訴された罪名が多いからと言って量刑が重くなるわけではありませんが、こういう場合は3つのうちの最も重い刑によって処断されます。そう軽い刑では済まされません。
彼が売っていた動画は以前交際していた女性との性行為を撮影したものです。もちろん女性には無断で動画を売っていました。女性のことを知っている不特定多数の男性のメールアドレスに、女性が口淫しているシーンのキャプチャー画像を添付したメールを送って購入を持ちかけました。
持ちかけられた男性のうち6人が25万円でこの動画を購入しましたが、購入せずに警察に通報した人がいたため事件が発覚し逮捕にいたりました。
被害者である女性は、
「交際するようになってから、家やホテルで行為に及びながら被告は撮影もしていました。当時私は19歳でした。自分の動画を流通させた被告に対しては許せない気持ちでいっぱいです」
と被害感情を供述しています。
借金返済のために人権侵害
彼がこのような犯行に至った理由、それはFX投資の失敗で作った借金の返済のためでした。
「お金に困っていました。毎月返済が数十万円にもなっていて、給料以上の支出になってしまう状態がずっと続いていました」
借金の額は1000万円を越えていました。製造メーカーに勤める普通の会社員だった彼には重たい金額でした。
このように動機について供述していた被告を検察官は、
「いくらお金に困ってても、私的な動画を本人の同意なしに売っていいと思ってるの!?」
と厳しい口調で追及していました。
「ヤミ金にも手を出してしまっていて…その返済もあってやってしまいました。もうFXには手を出しません」
借金については今後、弁護士も交えて家族で話し合って返済していく、と言っていました。なぜそれを犯行にいたる前にできなかったのでしょうか。証人として出廷した父親が
「軽い気持ちでやってしまったと思う」
と話していた通りなのだと思います。軽い気持ちで動画を流出させられた被害者の気持ちになってみれば全くやりきれません。
この事件を担当していた警察官が彼にこのようなことを語りかけていたそうです。
「お金に困ると、人は何でもやってしまう」
彼にはその言葉は身に染みたと思います。金が人を狂わせて壊すこと、それはよくあることです。彼も借金に追われる生活を送るなかでどこかが壊れてしまったのだと思います。
裁判で彼は借金と自分の今後の生活についてはよく話していましたが、最後まで被害者への謝罪の言葉は一言もありませんでした。
今は誰でもスマートフォンを持っている時代です。性行為を撮影することはやろうと思えば手軽にできます。しかし、その動画が一度ネット上に流出してしまえばもう消すことは出来ません。
女 性側は相手を信頼しているから撮影を許してしまうのかもしれませんが、その行為にどんなリスクがあるのか想像もできない相手など信頼には価しません。思いやる気持ちが少しでもある人間ならそもそも撮影など持ちかけません。
彼のパソコンには、今回の被害者だけでなく他にも数名の女性との動画が保存されていました。これらに関しては売られてはいないしネット上に流出もしていませんし、もうすでに全てデータは消されているということですが、もし彼が逮捕されていなければどうなったかはわかりません。
この裁判では懲役1年6ヶ月、それに加えて罰金30万円も求刑されました。1000万円を越える借金に比べれば微々たる額ですが、せめてこの罰金はまともな手段で払ってほしいものです。(取材・文◎鈴木孔明)