「ホームレスの方がマシ」 施設を飛び出し、万引きで逮捕 男が裁判で語った生活保護施設の実態とは?
――前にいた荒川区の施設はなんで出ちゃったんですか?
「人間関係がうまくいかなかったのと、ルールが厳しすぎて…。横断歩道を渡らないといけないルールがあるんですが、それ以外の道路を横ぎっただけで罰金とか…」
――じゃあ、今回の足立区の施設は?
「ちょっと、南京虫がひどすぎて…」
――南京虫? えっと、そういうのは施設の人とか役所に相談しなかったんですか?
「相談しました。しましたよ。でも足立区に言っても苦笑いされるだけで何もしてくれなくて」
――それは我慢できませんか?
「そりゃ少しくらいなら我慢しますよ。でも少しローラーかけたら50匹も60匹もくっついてくるんですよ」
そんなことか、と思われるかもしれません。ただ人には我慢できるものと我慢できないものがあり、その基準は人それぞれです。
そもそも、これが人間の住む環境とも思えません。相談をしても「苦笑いされるだけ」です。
元はと言えば、彼は病気が原因で働けなくなって生活保護を頼りました。そこには何の罪も咎もないはずです。それなのに何故、このようなまるで罰のような環境におかれなければならないのでしょうか?
これが「健康で文化的な最低限度の生活」とは、私にはどうしても思えません。(取材・文◎鈴木孔明)
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