【特集◎NHK紅白歌合戦の闇】 「ジャニーズ枠」とは何か・第三弾! ~稲垣吾郎、草なぎ剛が逮捕されても嵐で四枠獲得|文◎平本淳也(元ジャニーズJr.)

96年に『ミッドナイト・シャッフル』で近藤真彦が8年ぶりにスポットで出場しているが、基本2枠という限定的な仕切りにジャニーさんは怒り心頭だったようで、95年のV6、97年のKinKi Kids、99年の嵐、2004年の関ジャニ∞ら後のスーパーグループたちを出場させず、特に1位しか獲ったことがないギネス記録保持者「KinKi Kids」に至っては16年まで披露させなかった。

ただ人気頂点を極めるジャニーズもそこまで偉ぶる訳にもいかない。SMAPが初めて辞退した2001年、稲垣吾郎の逮捕があり、活動の自粛をもって必然的に欠場となった。一方、草彅剛が逮捕されたのは2009年だが、この時は事件の質も考慮されておおよそ1ヶ月程度で活動のほぼすべてが「元通り」になったため、紅白への影響はなかった。

しかし、少なくとも「逮捕」なので、高校野球連盟なら永久追放のレベルだろうが、逮捕された年の大晦日にはTOKIOと初出場の「嵐」と「NYC」でジャニーズ4組で枠を倍増している。しつこいが、逮捕されても倍増できる事務所はジャニーズ以外に考えられないだろう。

この年から3年連続で4枠、2012年に「関ジャニ∞」が初出場して5枠に増えて、13年にNYCが去るも「Sexy Zone」が参戦して5枠をキープ。14年には、ついに登場となる「V6」で6枠に増強すると、このあたりで「ジャニーズ枠(拡大!)」というのがよく聞かれるようになった。まだ最近のことである。

そしてSMAPの出場が最後となってしまった2015年には、前年の6組に加えて近藤真彦が再び登場するとなんと7組のジャニーズ勢だ。もちろん過去最高記録がこの2015年ではあるが、「ジャニーさんが発掘・育成した」郷ひろみと森進一を加えたら「ジャニー9」になる。ちなみに森進一はこの年を最後に「紅白卒業」を宣言してステージを去った。

ジャニーさん的に「狙った年」である。翌年はSMAPも森進一もいない。紅白の舞台でこれだけ多くのジャニメンを立たせる最初で最後のチャンスではないだろうか。85歳にして白組の35%を枠として持った最強のプロデューサーとして華やかな演出を施したと言える。

しかし世の中は広い、上には上がいる。

郷ひろみと森進一を合わせて9組とは言え、70年代の「渡辺プロダクション」に敵う者などいない。74年には10組が「ナベプロ」という結果に、「特定の事務所による私物化」が懸念されて「枠の意識」も高まったというが、それから40年の歳月をもってジャニーズはこの「枠」を打破して勝ち取ったわけだ。(続く)

文◎平本淳也