【新宿地下伝説・最終話】新宿駅南口・タカシマヤの地下に隠されているもの…|取材・文◎吉田悠軌

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これまでも本サイトで色々な「新宿地下伝説」をお送りしてきたが、新宿の地下といえば欠かせない話題が一つ残っている。それは……

「新宿駅南口、タカシマヤ(タイムズスクエア)の地下には新幹線用のホームが隠されている」

……という都市伝説だ。
もしかしたら鉄道好きの中には「えっ、上越新幹線の駅でしょ? それって都市伝説じゃなくて本当の話じゃないの?」と思う人もいるかもしれない。
確かに、これまで紹介した「江戸城からの脱出通路」「旧陸軍の秘密地下施設」などのロマンあふれるネタと違って、タカシマヤ地下の新幹線・新宿駅というテーマはかなり「現実的」だ。

なにしろタイムズスクエアには本当に広大な地下空間が造られているし、上越新幹線を新宿駅発着にしようという構想は昔から具体的にあがっている。将来の新幹線用として、新宿駅南口の地下にスペースを空けている……くらいの話ならあちこちで「事実」として語られているようだ。

これについてはインターネットでも、非常に綿密な取材・論考を行っている人もいる。様々な図面や地図、計画書をひっぱり出して検討されているが、やはり結論としては「タカシマヤ地下には新幹線用のスペースは造られていない」ようだ。とりあえず現在、新宿タカシマヤの地下深くに広がっているのは、超ハイテクの機械式立体駐車場である。

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新宿タカシマヤ地下の立体駐車場

それはそれとして、もう一つ怪談めいた話を紹介しておきたい。

実はJRでは「それに触れたとたん人身事故が起きる”地獄の扉”」が保管されている……という伝説だ。もともとは事故車両の運転席の扉らしいのだが、なにかの祟りが宿っているのだろうか。そのノブに誰かが触れると、その瞬間にJR路線内に人が飛び込んでしまうというのだ。JRではこれを”地獄の扉”と呼び、処分することもできず、どこでもドアよろしく扉一枚だけで保管し続けているという。

私がこの怪談を最初に聞いた時は、
「新宿駅の11~12ホームの下り方面一番端、事務室のさらに奥の供養搭そばに”地獄の扉”が安置されている」
とのことだったので、その日のうちに慌てて確認しにいった。
しかしホーム端から事務室の柵の向こうを覗いてみても、有名な供養搭の他はなにも見当たらず……。後日また関係者に話を聞いてみたところ、”地獄の扉”はまた別の場所に移動したとのことだった。

takashimaya03.jpg新宿駅11・12番線の端

takashimaya04.jpg新宿駅13・14番線から見た供養搭

そう、その移動先こそが新宿タカシマヤ地下の新幹線ホーム、だというのである。
 
だからあそこには二重の地下伝説がささやかれているのだ。
一つは「上越新幹線・新宿駅用に造られたスペースが隠されている」というもの。そしてもう一つは「その秘密ホームには触れると人が死ぬ”地獄の扉”が安置されている」というものだ。多くの人々が行きかうデパートの真下に、なんとも怖ろしい空間が広がっているではないか。

ちなみに「新宿地下伝説とか言ってるけど、タカシマヤは住所的には渋谷区だよ」という苦情はいっさい受け付けないのであしからず。

参考URL
骨まで大洋ファン
http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/

取材・文◎吉田悠軌