「金箔を塗って私と性交を5回しなさい。じゃないと死ぬ」 儀式だと言って女性をホテルに連れ込んだ僧侶

バスタオル一枚の僧侶を逮捕したことを報じるbanmuang.co.th

まじないや呪術は、悩める人のあるところ、頼るよすがとしてどこにでもあるもののようです。タイ中部アントーン県で商売を営む女性(34)はある日、市場を歩いていると50歳前後の僧侶に声をかけられました。「あなたには悪運の相が出ている。死ぬかもしれない。」

女性には最近体調が優れない、不吉なことが身の回りに起きているなど思い当たるフシがあったのかもしれません。自分は呪術に長けているので金箔貼りのまじないをしてあげようと言う僧侶に電話番号を教えます。

タイでは健康、商売繁盛、恋愛成就などのために顔に四角い金箔を貼るまじないが昔から行われています。多くは寺の僧侶が呪文を唱えながらまじないの儀式を行いますが、地域の呪術師や占い師がすることもあります。

僧侶から女性の元には電話とLINEで頻繁に連絡が来るようになりました。金箔貼りのまじないで商売が繁盛するようにしてあげる。もししないままでいると命にかかわることになるという内容でした。そのうち僧侶は金箔貼りのまじないの具体的な儀式内容について、このように語り出したのです。

「まじないの効力を完全に発揮させるには、性交を5回しなければならない。」

絶対におかしい。女性は僧侶が今までにも時々卑猥なことを口にしていたのも思い出します。その時は聞き流していましたが、妻帯が認められていないタイの僧侶がこんなことを口にするのは普通ではないため、思い切って警察に通報しました。

警察は女性と相談して一計を案じます。女性に騙されたふりをしてもらい僧侶をおびき出す囮(おとり)捜査を実行することになったのです。

イチモツを握るよう女性に指示

2月18日、女性との待ち合わせ場所のホテル前に僧侶がバイクで現れました。すると袈裟を脱ぎカバンにしまい、中に着ていたTシャツ姿でバイクの後ろに女性を乗せホテルへと入って行きます。警察が遠くから見張っているとも知らずに…。

部屋に入るとすぐに金箔貼りのまじない儀式が始まり、女性はバスタオルを腰に巻いただけの姿になるように指示されます。自身も同じバスタオル一枚の姿になった僧侶が金箔を女性の顔に貼り始めました。その手はやがて首へ、さらに下りていき胸に金箔を貼り出します。

さらには自分のイチモツを握るよう女性に指示。女性はこれ以上被害者を出さないために今回で逮捕させようとの思いでこらえながら言われるがままに。

しかし僧侶が自分と一枚のバスタオルにくるまって寝るように指示したところで、さすがにこれ以上は危険と判断した女性は、示し合わせていたとおり合図として悲鳴を上げました。

即座に部屋になだれ込んだ警察官の目の前には、バスタオル一枚を腰に巻いただけの姿で呆然と立ち尽くす僧侶の姿が。

警察が僧侶の所持品を確認すると、カバンの中からは詰め込まれた袈裟とともにバイアグラが4錠のうち2錠使用された状態で見つかりました。

身分証などから後に、この僧侶は52歳、他県の寺で僧侶をしていて修行行脚のためにアントーン県の寺に滞在中と判明。

もうやらない、見逃してくれと懇願する僧侶を警察は、タイ仏教会アントーン県支部書記長を務めるアントーン寺住職のもとに連れて行き、強制還俗の手続きを受けさせた後、立件するために警察署に連行したのでした。

こんな生臭坊主が今まで僧侶をやってこられたことがにわかに信じがたいですが、これ以上被害者を出したくないという女性の願いのとおりとなりそうな結末のニュースでした。

参考URL
http://www.banmuang.co.th/news/crime/103262

取材・文◎赤熊賢