【絵本作家のぶみさんへ】『あたしおかあさんだから』のアンサーソング『あたしおかあさんの娘だから』を作ってみた|文◎なるみや
子どもが読むのを嫌がるでお馴染みの『ママがおばけになっちゃった!』(講談社)
絵本作家の “のぶみ” さんが作詞をし、だいすけおにいさんが歌う『あたしおかあさんだから』の歌詞をめぐり、Twitterで大論争が巻き起こっています。
のぶみさんご本人はこの作品を、「号泣まちがいなし」と自信満々だったようですが、その内容はというと、自分の人生をなげうって子どものためにだけ献身的に生きる母親の姿が、まるで恨み節のように羅列されており、「#あたしおかあさんだから」というタグがトレンドに入るほど大炎上となりました。
母親だけではなく、未婚の女性、働く女性、学生、はたまた男性からも反発の声があがっています。
【歌詞の一部を抜粋】
「あたしおかあさんだから ねむいままあさ5じにおきるの」
「あたしおかあさんだから だいすきなおかずあげるの」
「あたしおかあさんだから あたしよりあなたのことばかり」
(中略)
「もしもおかあさんになるまえにもどれたなら よなかにあそぶわ
ライブにいくの じぶんのためにふくかうの
それぜーんぶやめて いま、あたしおかあさん
それぜんぶより おかあさんになれてよかった」
この歌詞に疑問をもった人たちにより、「#あたしおかあさんだけど」というハッシュタグも作られました。そこでは おかあさんだけど趣味を楽しむ、おかあさんだけどネイルをする、おかあさんだけどダラダラ寝過ごす、など楽しく人生を送る等身大の母親の姿が並んでいます。救われました。
『あたしおかあさんだから…』とブツブツと恨み節を繰り返し、ノイローゼになり、思い通りにならない子どもに「これだけしてやったのに」「これだけ我慢しているのよ」と怒鳴りつける前に、「あたしおかあさんだけど二度寝しよう」「あたしおかあさんだけど今日はレトルトでいいや」と、どうか可能な範囲で堂々とサボって愚痴ってください。
本人は「これはママおつかれさまの応援歌」と説明していますが、ママの応援をダシに子どもにおかあさんの人生を背負わせてはいけません。
のぶみさん、あなたは母親に『あたしおかあさんだから』の歌詞のように我慢し続けてほしいですか?
のぶみさん、あなたが書いた『あたしおかあさんだから』と、#あたしおかあさんだけど に並ぶ言葉、自分の母親に言われたいのはどちらですか?
この曲に励まされたという方がいらっしゃることを否定はしません、それでも、子どもにおかあさんの我慢の重荷を背負わせないでほしいのです。アンサーソングとして、『あたしおかあさんだから』を聞いて育った娘の歌をつくりました。まるで、現在社会で問題になっている闇のような歌詞でゾっとします。
『あたしおかあさんの娘だから』
あたしおかあさんの娘だから
おかあさんを寂しくさせないように親孝行するの 寄り道しない
あたしおかあさんの娘だから
いい大学に入るために 観たい映画に行かない
あたしおかあさんの娘だから
わたしの人生は おかあさんが喜ぶために頑張るの
あたしおかあさんの娘だから
おかあさんが我慢してきたことを聞かされながら 優等生でいるの
あたしおかあさんの娘だから
わたし自身よりおかあさんのことばかり
あたしおかあさんの娘だから
わたしって誰だっけ 夢なんてあったのかな
あたしおかあさんの娘だから
気がつけばやりたいことなんてない 友だちもいない
あたしおかあさんの娘だから
……わたしは何のために生まれてきたのかな
文・なるみや