【草下シンヤのちょっと裏ネタ】シミケン先輩、薬物で6度目の逮捕
著名人のジャンキーといえば、すぐに思い浮かぶのが、マーシーこと田代まさし氏と、シミケン先輩こと清水健太郎氏だが、2人の印象はずいぶんと違う。
マーシーはまさに痛々しく、最後に逮捕された際のやさぐれたヒヨコのようなうすらさびしい姿は、クスリの怖さを周知させるに充分なインパクトを持っていたが、清水健太郎氏はその身にまとった不良性のようなものから、ふてぶてしい存在感を感じさせる。そのあたりがドラッグ愛用者たちから「シミケン先輩!」と呼ばれる所以であろう。
今回の先輩の逮捕の報を目にしたときに私がまず感じたのは、「シャブはやめていたんだ」というものだった。ニュースに「合成麻薬」とあったからだが、ここに違和感を覚えた。合成麻薬といえば、最もポピュラーなものは「エクスタシー」(MDMA)だが、清水健太郎氏は雲の上のような多幸感が特徴のエクスタシーなどは似合わないと思ったからだ。
そして、覚せい剤使用で度重なる逮捕歴のある清水健太郎氏の逮捕にあたって、警察は当然覚せい剤をターゲットに尿検査を行なうはずであり、その案件で逮捕されていないことから、現在は覚せい剤には手を出していないということもわかった。
その後、この合成麻薬が「α−PVP」というコカインや覚せい剤に似た作用を持つ薬物ということが報じられ、「α−PVP」は今年3月1日から非合法に指定されたものであることがわかった。
清水健太郎氏は逮捕後、「知人から合法ドラッグとして渡されたものを飲んだ。違法なものとは思わなかった」と容疑を否認していたようだが、おそらくそれは本当だろう。
清水健太郎氏は、さすがに度々逮捕され、刑務所にぶち込まれるのは懲り懲りだと考え、覚せい剤は手控えていた。しかし、ずっとシラフでいるのも退屈で、覚せい剤に似た合法だと思われる薬物に手を出したのだが、すでにその薬物は違法指定されており、「御用」となったというところだろう。
この一連の流れを見て、私は氏の行動がカッコ悪く見えてしまった。
覚せい剤を使用していなかったことは評価できるが、その代用品(しかも「合法」という前提のもとに)を求めていたところに、かつての氏にあったふてぶてしさが感じられなかったからである。
これは氏の不良性に魅せられ、「先輩!」と呼ぶことで敬愛を表していたジャンキーたちにも、「先輩……ウソだろ。合ドラなんて。しかも、指定されていたって気づかず、捕まっちまうなんて」と失望を与えることになった。薬物関係で6度目の逮捕である。1年半ほどは服役することになるだろうと思っていた。
しかし、このニュースには更に続報があった。
6月24日、清水健太郎氏が処分保留のまま釈放されたのだ。これは簡単に言うと、犯罪には間違いないんだけど裁判にかけて罪に問うことは今回はしないでおこうということであり、今回の逮捕に関しては暫定的ではあるが、おとがめなしと判断されたということである。
氏の薬物がらみの逮捕歴を列記しよう。
1983年 大麻取締法違反(1度目)
1986年 大麻取締法違反(2度目)
1994年 大麻取締法違反及び覚せい剤取締法違反(3度目)
2004年 覚せい剤取締法違反(4度目)
2010年 覚せい剤取締法違反(5度目)
2013年 麻薬取締法違反(6度目)
広い括りでは同じ薬物犯罪だが、過去に「大麻」「覚せい剤」はあっても「麻薬」は存在しない。そのため、単純な累犯扱いにならなかったことと、氏の「違法なものとは思わなかった」という供述に一定の真実味があったことから起訴が見送られたのだろう。
しかし、これはまさに幸運と言うしかない処分であり、氏は釈放後、「もう懲りた。合法と言われても手は出さない」と話しているという。
ここに来て告白するが、私はVシネマ『雀鬼』『首領への道』シリーズに主演している氏のファンである。今回の逮捕劇は私のようなファンにとっても「もう懲りた」と思わせるものであった。
しかし、氏は今回、覚せい剤には手を出していなかった。そして釈放後、合成麻薬にも手を出さないと発言している。
次は悲しいニュースを見て「先輩……」と呟かせるのではなく、カッコいい姿を見せて「先輩!」と言わせてほしいものだ。
――と、この原稿を書いた2日後に再び清水健太郎氏のニュースが報じられた。もう、そのまま記事を貼り付けよう。
清水健太郎さんら救急搬送=ハーブ吸引か、軽度の意識障害
時事通信 7月11日(木)13時13分配信
元俳優の清水健太郎(本名・園田巌)さん(60)が9日、東京都台東区の自宅マンションから知人男性と2人で病院に救急搬送され、「ハーブを吸った」などと説明していたことが11日、警視庁蔵前署への取材で分かった。いずれも軽度の意識障害で、すぐに帰宅したという。室内からハーブのようなものが見つかり、同署は違法な成分が含まれていないか鑑定する
先輩……。
Written by 草下シンヤ
Photo by rakratchada torsap
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