シリーズ「ネットウヨク論」番外編「CG児童ポルノ」という造語に見る大手メ ディアの凋落1

つい先日、日刊ナックルズにネットウヨク論の一環として「まとめブログの正体」というタイトルの記事をアップして頂いた。その中で情報ソースとして全く信用のおけない存在の代表として、まとめブログとその手法について取り上げたのだが、実はこうした「情報商売に昭和のテキ屋のテイストを加えてみました!」かのようなインチキ商売は、ネット発という訳ではない。今回取り上げるのは、そうしたインチキ見出し商売の元祖とも呼ぶべき”大手メディアの2手3手先を読めない無能さ”についてだ。

さて、7月中旬頃に「CG児童ポルノで初の摘発!」というニュースが話題になったのは記憶に新しい。ところが、これらの報道で使われた「CG児童ポルノ」という単語は実に作為的かつ偏向し過ぎているという点にお気付きだろうか?

※参考リンク 「CG 児童ポルノ」Googleニュース検索結果

この見出しだけを読んだ時点では、おそらく殆どの方が「CG系のロリ絵も摘発の対象になるのか!」とか「じゃあ自分が持ってるCGアニメのエロ作品も児童ポルノになるのか!?」といった感想を持ったのではないかと思う。

ところがだ、事件のあらましを追ってみると、この件は「実在した児童を撮影した幼女写真集(発禁処分)をCG加工した商品」を売っていたから、児ポ法で摘発されたことが解る。当初は「写真集を参考にCGに描き起こした」と言われていたが、後に一部の報道では「単に写真をレタッチしただけに見える物もあった」と報じられている。これが本当ならば、発禁処分になった幼女写真集をスキャンし、出来上がったデジタルデータにCGに見えるようなフィルターをかけ、それをそのまま売っていたのかもしれない。ともかく一つだけ確実に言えることは「CG絵が児童ポルノ」だから摘発されたのではなく、実在する児童(当時)が特定でき、かつすでに発売禁止処分を受けている違法な写真集の二次利用だと断定されたからヤラれたのである。

であるならば、新聞・TV・雑誌といった各メディアは「発禁幼女写真集の二次利用で摘発」程度の表現をしておくべきではないだろうか?今回のような報じ方では詳しい事情を知らない業界人による自粛が相次ぐだけで、天下りの倫理団体くらいしか得をする人間がいない。他に得をする存在があるとすれば、それは「事実通り受け取られないことを承知で刺激的な見出しを付け、人目を惹くことで商売をしているメディア」だけではなかろうか?

果たして彼らは今回の件で「CG児童ポルノ」という造語を持ち出すことが妥当だと本気で思っているのだろうか?確かに「CGも逮捕されるぞ!」と世間を脅かした方が、ビックリして耳目が集まるだろう。だが、それはプロのやることではなく、テキ屋根性丸出しのアウトローの手法である。それが許されるのは世間にネタとして広く認識されている東スポくらいのものだ。

このように、恥ずかしくも大手メディアともあろうものが、2ちゃんまとめブログの手法そのままの見出し詐欺で人を集めている。しかもこれは今に始まったことではないのだ。(続く)

Written by 荒井貞雄

Photo by PANPOTE

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