軽薄な文章で「父の日」の感動を押し付ける人は坂口杏里を見習うとイイです(2回め)|春山有子
父の日商戦がいつになく激しかった先週末、SNS上も大盛り上がり。「#父の日」で検索をかけると、頭のあったかい一般人たちによる心あたたまる文言が溢れ、月曜日のスタートダッシュをこれほどつまずかせるものはないですよね。
ではその一部を見てみましょう。
<HAPPY FATHER’S DAY!>
みんな言ってるけど、いつの間にかそんな言葉ができたんですか? 無知でごめんなさい! HAPPY HALLOWEEN! にやっと慣れたおじさん・おばさん泣かせこの上ありません。
<家族が増えること。そういう出来事から幸せが増えていくと感じる日々。父の日、それを支えてくれる親父には、感謝しないと>
マジ最高! 親父の愛情! ときには反抗! したけど感謝!
ああ、どこかのJポップがクルーと肩を組みながらラップをはじめたようです。
<パパ「今日、父の日じゃん!」
私「うん、そうだね」
息子「ふーん」
パパ「しょんぼり……」
完全にスルーした私たち(笑)。でも母の日はシチュー作ってくれたし、今日は子供と一緒に遊んでくれたし、なんかやったるかなあ(笑)。というわけで、今朝のデコ弁当、海苔で「父の日スルー」と描いてみました(笑)
#おもしろ弁当>
そのハッシュダグの勇気に拍手!
<パパ、本当にありがとう。どんな時も家族や私たちのことを考えてくれて、世界一かっこいい! 大好きです。いつもありがとう>
どうやったら公でこういう言葉を吐ける娘に育つんでしょうか。永遠に答えの出ない謎。
<パパ、これ、あたちからのプレゼント>
はい出た、赤ちゃんの写真に文字を乗せ、物言わぬ赤ちゃんなのをいいことに都合のいいことを好き勝手言わせる系画像ですね。
あたちから、じゃねーよ、おまえ(投稿者)からのものだろうがよ。
<My first Father’s Day
父として感謝してもらえた、初めての日。新米パパとしては照れ臭くて、でもこの無邪気な子どもの笑顔がただ嬉しくて。とてもいい「父としての日」になった>
浮かれてポエムなんか詠んじゃってからに!
<親になってからわかる、親の気持ち。
お父さん、ありがとう。
いつもより、
たくさんの愛をこめて。>
間ーーー!! すっごい間に含み込めてるーーー!!
彼らの共通点は、こちらの感情を揺さぶってこようとする姿勢。すきあらば揺さぶってこようとするんです。普通に、
<うぇーい!!お食事終わってまさかのサプライズ!!大感動!!最KOOの父の日です!!明日からまた頑張る!!>(DJ KOOのインスタより)
くらいシンプルでいいじゃないですか。
感情を揺さぶりたい、影響力を与えたい、そうした凄まじい欲が渦巻くSNSでいくら一般人が気合を入れても、常に意図せず感情を揺さぶっている坂口杏里さんには、誰も敵わないのですから。
6月16日から出演予定だった浅草ロック座でのストリップ公演の降板が、同公式サイトで発表されると、自身のインスタで啖呵切りした坂口さん。
<ドタキャンドタキャンってドタキャンされたのはこっちなんだけどね。時間、労力全部返してほしい。枯れるほど泣いたわ。練習風景をムービーで撮って、じゃあこれ撮ったからあとは家で練習? ストリップ以前に踊ることも初心者の人間に色々無茶言わないでほしい。家はスタジオじゃないし。こっちはプロじゃないし、きっちりちゃんと教えて、蓮れ夕もできるまでやってほしかった。たかが5、6回の練習でやりきれってゆう方がづーかしてるわ。踊り子のプロと一緒にしないでください。>
やっとアンチよりもファンが増えて「可愛い」「カラコンどこのですか?」「あんりちゃんみたいになりたい」などのコメントだらけになっていたところ、150件近いお説教の嵐に。
<観に行こうとしていたのに残念。上原亜衣ちゃんは頑張っていましたよ。がっかりです>
といった事情通のお客さんの正論ほか、
<仕事なめすぎ>
<すべてにおいて中途半端なんだよおまえは。資格でもとってみたら?>
<亡くなったお母さんに謝れ>
<私は英語教師ですが努力して結果が出ました>
<楽して稼ぐことできるわけない。練習する時間あったでしょ!?>
<あなたはなにをやってもだめだね。お金をもらうってことは覚悟が必要。自分でやると決めたらやりきるのが真っ当な人間だよ>
など、説教好きたちの感情を揺さぶったのでした。
しかも、最初はロック座の舞台の写真とともに投稿しましたが、のちにそれを削除。あらためて、自身が練習する姿の写真とともに同じ文章を投稿するという段階を経て、みなさんさらに揺さぶられていました。
坂口さんをほっとけないのは、養子縁組宣言をした泰葉だけじゃない。やっぱりみんな、「#父の日」に、
<素敵な父の日ですね! 羨ましいです^^>
なんて極薄コメントをするよりも、生き生きと説教させてくれる坂口さんが大好きなのです。
揺さぶりたい人は、坂口杏里さんを見習うことをオススメします。(文◎春山有子)