「たかじん夫人感涙手記/家鋪さくら」に衝撃を受けて|ほぼ日刊 吉田豪

●ほぼ日刊吉田豪 連載177回

 花田紀凱責任編集『月刊WiLL』2月号掲載の「たかじん夫人感涙手記/家鋪さくら」に、かなりの衝撃を受けました。だって、これ全然「感涙手記」じゃないんですよ! むしろ、「一部週刊誌の事実無根の記事や、インターネット上に書き込まれたいわれのない中傷にさらされて」きたらしい彼女が、様々な批判に反論しつつ各方面にナイフを突き付けるような、とにかく恐ろしい感じの手記!

 たとえば自分が離婚歴を隠していたことについても、彼女はこう主張するわけです。「こうした婚姻歴は非常にセンシティブなプライベートな情報であり、一部の人しか知らず、また戸籍を見ないとわからないことです。なぜそうした情報がネットに流出したのか。たいへんな恐怖を感じます。区役所に調べてもらったところ、主人が亡くなって以降、私の戸籍謄本が十五本も取られていることがわかりました。以前、私はストーカー被害に遭ったことがあり、ストーカー規制法によって戸籍の閲覧交付制限をかけていたにもかかわらず、勝手に取られてしまったのです。これは明らかにプライバシーの侵害です。今後、大阪府に開示請求をして、誰が戸籍を取ったのかをきちんと明らかにしていきたいと思っています」

 ……これで感動の涙が流れてくる人は世の中に存在しないと思うんですが、とにかく彼女は「ネットに匿名で書かれているものも含め、すでに一部は警察に被害届を提出しており、同時に名誉毀損で訴える準備も進めています」って感じで、これから各方面の批判に対して行動に出ると宣言しているわけです。まさに、さくら大戦!

 しかし、「百田さんの『殉愛』に書かれた内容が名誉毀損にあたるとして、(たかじんの娘が)出版元の幻冬舎を訴えました。しかし、本はすべて事実に基づかれて書かれています」とか「この十ヶ月は、娘さんの言い分を鵜呑みにした週刊誌の報道しかありませんでした」とかさくらさんは主張してるんですけど、娘さんの言い分を鵜呑みにした報道がほとんど存在しなくて、「感動の夫婦愛!」的な報道ばかりだったから、いまこんなことになってるんだと思いますよ。……って、これぐらいなら名誉毀損にならないですよね?

Written by 吉田豪

Photo by 殉愛

 

殉愛

感涙というより衝撃。