【安保法案】採決時の混乱を”スポーツ観戦”という切り口で振り返る|プチ鹿島の『余計な下世話!』

先週は安保一色の週だった。とくに17日に行われた安全保障関連法案の採決に関しては、各新聞はそれぞれの角度で報道したが、こんな記事もあった。

“ふくよかな”議員が外側ブロック、自民の「鴻池委員長防衛シフト」 (産経ニュース9月18日 )

記事の内容は、自民党の若手議員が「採決を妨害する野党議員から鴻池祥肇委員長を防御するため」防衛大学校名物の「棒倒し」を参考に綿密な守備計画を作り上げたというもの。記事はさらに「最も早く委員長席にたどり着くルートなどをシミュレーション。それが鉄壁の守備につながったという」と書く。

まるでスポーツ記事ではないか。ラグビーW杯で南アフリカを破った日本代表の美談ならいくらでも聞いていられるが、この切り口は妙だった。それなら私もさっそくあの採決を「スポーツ観戦」という切り口から「各選手」のことを書いてみたい。

目についたのは、参院議員1回生のはたらきぶりの差だ。採決の瞬間のニュースをみていると、騒動になってる輪の外のほうでワタミの創業者・渡邉美樹議員が手持ち無沙汰な感じで立っていた。あんな緩慢な動きでは居酒屋のバイトなら即刻クビになってしまう。時給分ぐらい働いてほしかった。同じく堀内恒夫(元巨人)も後方にいた。乱闘はプロ野球で慣れているはずだが、やはりあの場ではルーキーだったか。

同じ1回生で目立ちまくったのは山本太郎だった。採決の時はまっすぐに委員長席に突進。7月の衆院特別委員会での採決の際はベテランの辻元清美でさえテレビカメラの位置をチラチラ見てしまっていたが山本太郎はそんな気配はなし。本会議では一人牛歩や喪服で焼香の仕草を見せた(自民党の告別式という意味らしい)。

あの行動に関しては批判が殺到している。ただ、政治家という職業が何がしかの演技性も帯びるものであることを思うと山本太郎はワタミ議員よりは今の職業にハマっているのかもとも考えてしまう。

さて1回生のはたらきぶりはこれぐらいにしてヒゲパンチだ。佐藤正久議員の例のアレ。解説がくわしかったのは日刊ゲンダイ(9月21日付)だった。

《日本を含めたメディアの多くは、佐藤の一撃を「右ストレートがクリーンヒット」とボクシング風に表現したが。厳密には違う。ボクシングは親指を横にしてパンチを繰り出すが、佐藤の拳の握りは親指が上だ。いわゆる「縦拳」という突き技で、日本拳法などで用いられる》

本当か。そのあと軍事ジャーナリストが「佐藤氏が所属していた陸自の隊員は皆、『徒手格闘』なる武術を習得させられます。(略)相手を確実に仕留めるための”道ならぬ”武術です」とコメントを寄せる。私はあのパンチはミッキー・ロークの猫パンチを久しぶりに思い出したが、日本憲法ならぬ日本拳法だったのか。

以上、あの採決をスポーツ記事風に伝えるものを集めてみました。

Written by プチ鹿島

Photo by 佐藤正久公式ホームページより

プチ鹿島●時事芸人。オフィス北野所属。◆TBSラジオ「東京ポッド許可局」◆TBSラジオ「荒川強啓ディ・キャッチ!」◆YBSラジオ「はみだし しゃべくりラジオキックス」◆NHKラジオ第一「午後のまりやーじゅ」◆書籍「うそ社説 2~時事芸人~」◆WEB本の雑誌メルマガ ◆連載コラム「宝島」「東スポWeb」「KAMINOGE」「映画野郎」「CIRCUS MAX 」

※プチ鹿島の『余計な下世話!』バックナンバーはこちら

自衛隊徒手格闘入門

強いのも当然!?