SPEED今井絵里子議員の無邪気さが通じなかった政治世界|久田将義コラム
SPEED今井絵里子議員が当選した2016年。インタビューで「(基地問題など)これから勉強します」と言ってから一年が経ちました。
現在、北朝鮮ミサイルや安倍内閣、加計学園、森友学園問題など国内に解決すべき案件が山積みのため、今井議員の不倫疑惑など片隅に追いやられそうですが、それはそれで仕方ないでしょう。国難と一議員のしかも一年生議員の不倫と比べれば、解決しなければならないのはどちらかは、大人ならば誰でもわかるはずです。
なので、忘れられないうちに、ちょっと今井議員について言及してみます。もはやギャグに使われている「一線を超えた」問題だが、一線は超えていない、ということはないでしょう。全く、行為もとい好意がない人と新幹線の隣の席で手をつなぐ事は、まずあり得ません。
こう考えれば分かりやすいと思います。皆さんも、もしかしたら、男女で出張があるかもしれませんが、隣の女性社員に手でもつなごうものなら、パワハラかセクハラに該当する疑いが濃厚です。つまり一般社会ではあり得ません。故に「一線を超えた」という理屈が成り立っても良い訳です。
さらに言えば、「恋人つなぎ」は両者の合意があって成り立つつなぎ方で、歩いていてふと手を握った事と違うのは、交際経験のある人なら想像がつくはずです。
「これから勉強します」と言って国会に入っていった今井議員ですが、忘れがちなのが東京都議選でのツイート。
【今日から都議会選挙が始まります! 「批判なき選挙、批判なき政治」を目指して、子どもたちに堂々と胸を張って見せられるような選挙応援をします】(2017年6月23日)
彼女の本意が部分的にとらえられるのは不公平なので全文掲載しましたが、「批判なき選挙、批判なき政治を目指して」は、恐らく中高生でもおかしな言葉だと感じるはず。批判をどのように受け止めて、プラスに持っていくのか。国を良くしていくのかは、政治家のもっとも大事な姿勢です。これを放棄したかのようなツイートは目を疑いました。
で、こう考えてみる事にしました。百歩譲って無邪気な女性なのだ、と。
10代から芸能界に入り、政界へ。芸能界も政界も一般社会からすれば「異界」です。従って世間の感覚は、なかなか身につかないでしょう。
SPEEDがデビュー間もないころ。僕は三才ブックスという出版社にいました。「ラジオ番組表」という季刊誌の表紙をSPEEDの四人が飾り、僕は撮影現場に立ち会いました。
表紙撮影のための場所は予算がなかったため、スタジオを借りず急ごしらえの現場になりました。それでもデビュー間もない彼女たち、特に今井絵里子は「すごーい」と歓声を挙げていたのを覚えています。
僕らはスタジオを借りられなくて申し訳ないという気持ちでいっぱいだったのに。あの頃の無邪気さが今井議員の原点なのかなと思っています。が、政治の世界では通じません。ようやく壁に当ってかえってよかったのではないでしょうか。あの無邪気さが永遠に続くのは危険です。(久田将義)
《参考資料》ココロノウタ 息子と歩んだ4年間、そしてこれから (祥伝社黄金文庫)