財務省が書換えを自認か? 「森友問題」を朝日新聞の立証責任にすり替えるのは筋違い|プチ鹿島

 

今回の「森友文書 書き換え疑惑問題」で私がザワザワする点を書きます。
スクープを報じた「朝日新聞の立証責任」を問う声があることです。
『森友書き換え疑惑、朝日新聞に立証責任求める声 「非常に曖昧」「証言以外の根拠あるのか」 (夕刊フジ3月8日)
抜粋します。

・自民党の和田政宗参院議員は4日、自身のツイッターで、《「問題発覚後に書き換えの疑い」と報じたが、「疑い」と濁したのはなぜか。また複数の関係者の証言以外の証拠はあるのか?》
・北村晴男弁護士は6日のフジテレビ番組で、「非常に曖昧だ。(文書が2つ)あったのであれば、(朝日新聞は)コピーを入手して紙面に出すべきだ」と求めた。
・八代英輝弁護士もTBS番組で、「朝日新聞は『文書を入手した』とは言っていない。改竄(かいざん)前の文書があることを当然の前提として、政権にとって不都合じゃないかという言い方をしていいのか。立証責任を負っているのは、朝日新聞だ」と述べた。

エラい政治家や弁護士の先生方が上記のようにおっしゃっていますが、なんか私は釈然としないんです。
というのも書き換え疑惑があると報じられてから財務省がハッキリ否定したならともかく、のらりくらりしてるわけです。まだ財務省のほうに「ボール」はある。説明しなくちゃいけないというボールが。書いた側は向こうからの返球をしばらく待つはずです。
あと朝日に情報を提供したのはおそらく財務省の内部の人だろう。それなら、情報を提供した側はやすやすとネタ元を明らかにされたらどう思うか。そんなことをする新聞社は逆に信用できない。
しかもネタ元を早々と明かしたら、権力側は「ではどこから漏れたか」を全力で突き止める「対応」に動くはずだ。なおさら新聞社側は簡単には明かせない。
ちなみに朝日新聞のライバルである読売新聞は今回の問題をなんと言っているでしょうか。読売が初めて社説に書いたのが3月9日(金)でした。

『森友文書問題 書き換え疑惑の真相究明を』(読売新聞03月09日)
・公文書の書き換え疑惑が浮上し、国会の焦点となっている。政府は真相究明を急ぎ、説明責任を果たさねばならない。
・財務省は関係者から聴取するとともに、文書の確認作業を行って事実関係を明らかにすべきだ。
・貴重な行政記録である公文書の扱いが粗雑ではないか。
・政府全体で緊張感を持って取り組まなければならない。

読売の社説には「政府」や「財務省」の対応について小言を書いていますが、「朝日新聞は立証責任を」とは書いていません。
「まずマスコミからネタ元を明らかにせよ」なんて、たとえ普段の主張は異なる関係だとしても言うわけない。
読売の社説は当たり前のことを当たり前に書いている冷静な内容だと思いました。
こういう解釈でよいですか、ナベツネさん。(文・プチ鹿島/連載「余計な下世話」)