『映画秘宝』はなぜ失敗したのか 権威化した人々がやるべき事|久田将義

2月27日、岩田元編集長のやらかしだと思われていたのが、編集部で働くフリー編集者の方からのツイート、内部告発と言っても良いのですが、実は創刊者の町山智浩さんや田野辺前編集長ら幹部からのフリー編集者への圧力があった事が明らかになりました。

よくまとめられていたのがロマン優光さんの「ブッチNEWS」の記事で、あれを読めば大体の事が理解できるのですが(註・1点だけ。僕の記述の中で元チーマーとありましたがチーマーではないです。あとは全部プロフィール、合っています)、ラジオのリスナーに対してツイッターのダイレクトメールで恫喝を送った岩田氏の精神(医学的という意味ではない。メディアの矜持という意味)について、少し触れておかなければなりません。

この問題は意外と、メディアの人間は興味を持っていて大手出版社の友人たちもこれについて話題にしています。あくまで僕の周囲の声に限りますが、騒動については全員「ありえない」というように呆れているのが実情です。

岩田氏はかつて、僕が在籍していたミリオン出版(現・大洋図書)にもいました。が、全く岩田氏の記憶はありません。これは60人くらい社員やアルバイトがいた会社ですし、部署も違っていたので致し方ないでしょう。

そこで元ミリオン出版の社員から聞いてみました。ミリオン出版は現在の九段下の自社ビルに移る前、市ヶ谷のビルに2フロア借りていました。上の階は『egg』編集部。下の階に僕が編集長だった『実話ナックルズ』編集部。それと『GON!』編集部などがありました。『GON!』は当初の「Z級マガジン」というおもしろ雑誌ではなく、部数低下のためエロ本化していました。90年代の雑誌は部数が低下すると、エロ本化するのが常でした。岩田氏は勢いのあった「GON!」ではなく、低下中の「GON!」に在籍していたようです。

「死にたい」とリスナーをDMで恫喝し『映画秘宝』が炎上 僕も以前DMを貰いました DM癖ってあるのでしょうか | TABLO

で、疑問なのが、僕は岩田氏が『映画秘宝』に移った時、名刺交換をしたのですが少なくとも僕の名前は認識していたと思うのです。「僕もミリオン出版だったんですよ」くらいは言っていいと思うのですが、記憶ではそんな言葉はなかったです。

今から思うと、嫌な思い出しかミリオン出版にはないのかなと同情をしないでもありませんが、『映画秘宝』編集長という肩書きに妙なプライドを抱いていたのかなとも感じます。別原稿でも書きましたが、『全裸監督』を絶賛していた『映画秘宝』に対して、専門家外からの指摘として僕の「映画秘宝が絶賛し過ぎているので要注意して視聴したい」旨のツイートにDMで「映画秘宝公式アカウント」から、

【何が、なぜやばいんでしょうか?
岩田拝
2019年8月12日 午前7:01】

というものを受け取っています。朝早いですね。僕は以前から『映画秘宝』が権威化しているのかな、もっと言えば調子に乗っているのかなと思っていましたので、それを吐露したのだと思います。実は、もう少し前から「嫌にはしゃいでいるな」ぐらいには思っていたのですが、2019年に既にツイートしていたんですね(今回の事が起きたから、記事化した訳でなく後出しジャンケンではないと受け取って頂ければ幸いです)。

そこで冒頭の指摘に戻るのですが、『GON!』で恐らく、イキイキと仕事は出来なかった。が、権威とになった『映画秘宝』の編集長として、変なプライドを持ってしまったのではないかと思っています。ある元ミリオン出版社員が「『映画秘宝デビュー』ですよ」と言いました。得心いきました。