平野「民主党政権を二木はなんで支持しなかったんだ?」|ジャーナリスト二木啓孝×ロフト席亭・平野悠

こちらからの続きです

トークライブハウスの先駆け「ロフト」はいつ出来たのか|ジャーナリスト二木啓孝×ロフト席亭・平野悠

 前半はロフトの起源。そしてロス疑惑とオウム事件の知られざるアナザーストーリーでした。後半は政治はこれからどうなるのか――。

「政治には絶望した」(平野悠)

二木:悠さんは運動の挫折から、小さなロフトからはじまって、これだけ店を大きくして、それでもまだピースボートに乗って恋愛もして。頭のエネルギーと下半身のエネルギーってどうなってるんだろう。

平野:ピースボートって面白いですよ。船という閉鎖した空間にずっとみんながいるんだから。あと2年後にもう一度乗るんだけどやっぱおもしろいですよ。ピースボートって80%以上が老人なわけ。でもそこが案外心地よくて、自分が老人ホームで生きる自信ができたんですよ。

二木:僕は田舎思考だから、千葉に住みつこうと思っている。先週は稲刈りをして、天日干しをして、次は脱穀ですよ。

平野:俺は、二木に相談しようと思ったのは、未来のいろんなことに腹がたって、自分は未来に属することにはもう関われないと思って、政治問題はもうなにも書けない。もう政治は若者に託します、と、安倍支持ならもうそれはそれでいい、と。でもそれは正解なんだろうか。

二木:悠さんには、永遠のやんちゃ坊主でいてほしいと思いますよ。色にたとえれば、政治が好きな赤があって、ジャズや音楽が好きな青、あとは色恋のピンクかな。それが同時進行だったんですよね。でもその政治が好きな赤のところに、むりやりピンクを上塗りしているだけなんじゃないですか? それで赤をかさぶたのようにふさごうとしている。

平野:ぐちぐちした想いはそりゃずっとあるよ。

二木:でもそれがときどきボーンと出てきちゃって、反原発デモに200万円ぐらい投じちゃったりして(笑)。だからそういう風に封じ込めちゃいかん、と思いますよ。

平野:いまもう苦しいくらい。「俺はもう政治には関わらない!」って決めてるの。

二木:なんで禁欲するの? 体力・知力・精神力を計りながら、徐々に、幅を狭めていけばいいのに。

平野:絶望なんですよ。政治に。EUが生まれたときは、まだひょっとして、という希望があったんですよ。

二木:僕は最終的な目標は千葉で農家をやるという夢があるけれど、最近、はちみつの養蜂家になりたいと思っているんですよ。いまの日本ミツバチの状況を憂いたりしているんです。できればはちみつを作りたい、もう政治のことは少し遠くなっているけど、封じ込める気はないんだよね。平野さんが肩入れしている政治勢力の状況に絶望しているんですよね。

平野:俺が怒っているのは、鳩山が生まれて、菅さんの民主党政権を大反対したじゃないですか、俺は断固支持だったんだよ。

二木:僕は批判をしたのは「そのやり方でいいわけ?」ということで、潰せというわけではなかったんですよね。

平野:今の政治に憂いている知識人が民主党を見限ったんですよ。そうしたらその後どうなるか、わかるでしょう。自民党がまた勢力をもってしまう。わかっているにもかかわらず見限る、せっかく生まれた民主党政権を。やっぱり鳩山の平和宣言とかいいじゃないですか。なんで二木が支持しなかったのか、愕然としていたんだよ。

二木:民主党は自公をつぶすことには一生懸命になったけど、つぶして政権を取ったらみんなボーっとなってしまったんだよ。だって、みんなバラバラ。それが悪い革命なんですよ。僕のささやかな経験から言えばマルクス主義っていうのは理論的で、抑圧した人のエネルギーの源泉になるし分析の力は最高だけど、樹立すべき権力の戦略ではなかった。
それと同じように民主党にがっかりしたのは、政権をとるために集まったのに、政権をとったらどうしたらいいかわからなくてボーっとなってしまったんですよ。僕らよりもっと古い60年安保のときに、学生が国会突入の方針をとり、南通用門を突破できてしまった。
ところがその先がないから、アンパン売りがきて、「アンパンアンパン」 というのでみんなでアンパンを買ったっていう。いざ入ったらボーっとなってしまう。

だから僕は批判する。

ただし、7:3くらいで批判をしたんだけど、なるほどなと思ったのは、昨年の総選挙で枝野幸男が立憲民主党を立ち上げてみんなうわっと集まったんだけど、僕ら世代の連中は、枝野が好きかどうかは関係なく、「良かった、棄権か共産党しか入れるところがなかったのに入れるところができた」って思ったんですよ。
だからいまだに12%くらい支持率があるわけでしょ。そうすると安倍に対抗する立憲民主というところにみんながいったというのは、平野さんの言うような、不満のある無党派層がこんなにいるということなんだよね。

平野:まだ可能性はある?

二木:それを伸ばすために枝野はどうしていくかですよ。革命なんて、波と一緒で防波堤に何回もぶつかって、ぶつかり続けるんですよ。100回目に乗り越えらえられるかもしれないのに98回で諦めちゃだめですよ。

平野:僕たちがやったことは、旧体制打破なんですよ。これに対して、僕たちは戦った。ただアメリカが嫌いで帝国主義を倒せではなくて、旧政権打破。それなのに、そこでどんな政権をつくるかって言われても困るよ。共産党ですら敵だったんだからね。

二木:だって「授業をボイコットしてデモに行こう」と言うと「授業終わってから行きましょう」って言われるんだものね(笑)。

平野:殴られて護送車に放り投げられたときに、俺は生きてるって感じがあったよ。誇りをもって生きてるって。

二木:僕らはつかまったときに、「しまった! これで明日ビラ配りができない」って思った。団塊の世代は一歳ごとに見ている風景が違うんですよ。平野さんのころは、「ああ、おもしろかった」っていう勝ち組の学生運動ですよ。僕は負け組だから、「ああ、痛かった」って倒される思い出だから。

平野:あれだけ敗北を重ねて、クラス討論からも追い出される時代に、なんで戦えたの?

二木:簡単ですよ。マンガ「あしたのジョー」の「立てジョー、明日はどっちだ」って(笑)。[了](文中敬称略)