「ジャニーズ性加害当事者の会」会見 東京新聞記者の長質問に被害者の妻が激しく反応 記者は何のために記事を書くのか
当事者の会や代表の平本淳也氏に対してのネットのアンチの反応は、個人的には「まあそうだろうな」とは思います。一時は「作家」をに名乗ったこともある氏ですので、調べたり取材したり分析するのは好きなのです。
ジャニーズ事務所に対しても、人間関係などや各グループについて、ネットや文章などで分析を発表しています。性格は毀誉褒貶の激しい人と言っていいかも知れません。
ただ、これこそが「ノイズ」なのです。
彼がジャニーズ事務所で体験した異常な出来事は「ジャニーズのすべて」(データハウス)で、発行した通りであり、これが本線です。
また6日に「当事者の会」の会見では、刑事告訴を匂わす主旨のコメントを元ジャニーズ達と弁護士が発しました。その中で「融和的にジャニーズ事務所とは話していきたい」旨の発言を石丸副代表が発した事に対して、東京新聞記者が噛みつきました。
「告訴を匂わして、融和とは矛盾しているのではないか。どう記事を書けば良いのか」という事なのですが、とにかく質問が長い。主張を延々として最後に「で、どうですか」というパターン。石丸副代表は「融和」という表現は訂正しますと最後の方で発言。質問も数回繰り返され、まるで当事者の会(性被害に遭った人たちです)が、つるし上げられているようにも見えます。
途中で被害者である服部氏の妻が「この人たちは、ここに出たい訳ではない。わかって」と諭すように記者に抗議します。被害者こそ当事者なのです。当事者性の重視は事件取材では非常に重要です。
福島第一原発事故を例に出しますと、取材した僕らは彼ら当時者の気持ちは100%は分かりません。けれど100に近づける努力をします。ひたすから話を聞くのです。聞いて聞いて聞きまくる。それでようやく被害者の信頼を得る事が出来、本音を話してくれるものだと思います。自分の主張はいりません。ただ、「私はこういう人間だ」と分かってもらう為に、説明する場合はありますが。
8月にLOFT9で吉田豪君とのトークイべントでゲストに平本淳也さんを呼びました。他に元ジャニーズジュニア3人が加わったイベントです。彼らは記者会見のような堅い場所でないので、フランクに体験を話してはくれましたが、僕は(吉田君も)いたたまれなかったですし、神経を遣いました。
僕も目の前でジャニーズジュニアの皆さんたちを見て、笑ってはいますが、この人たちの気持ちはこの人たちにしか分からないと思いました。平本代表とは長い付き合いですので、かなりフランクに話しており、その流れで元ジャニーズの皆さんも(無理にでも)明るく話してくれました。冗談を交えて。
僕は礼儀として(というと変な表現ですが)笑いましたが、当然心から笑っていません。アラフィフ、アラフォーの大人が当時を思い出して、涙する姿をネットフリックスや「クローズアップ現代」(NHK)などを見れば、とてもではないけれど冗談ぽくうけ取れませんでした。
控室でも笑いはほとんどなかったはずです。それほど気をつかいました。性被害・性加害は繰り返しますが本人にしか分からない問題だと思っているからです。福島第一原発事故では、ひたすから被災者の声を聴きました。ようやく、少しの信頼を得る事が出来ました。
新聞は何のために記事を書くのでしょう。記者の正義感を満たすためでしょうか。違いますよね。(文@久田将義)