涙を勇気に変えて 「FINALIST」『タマ』インタビュー「王道を歩いていきたいです」
インタビュー後、清々しい気分になったのは久しぶりです。アイドルユニット「FINALIST」のメンバー「タマ」。実はこのアイドルユニットは順調に来た訳ではありません。苦難を乗り越えてようやく、デビューにたどりついた経緯があります。
秋元康プロデュースで、1万人の中から11人が選ばれ「WHITE SCORPION」としてデビューしました。その中で最終選考に残ったけれど、選ばれなかった17人で「FINALIST」が組まれました。そしてデビュー曲『命しか捧げるものがない』を発表。いわば、一度挫折を味わったアイドル達。それが「FINALIST」な訳です。
こんなエピソードを思い出しました。池袋サンシャインシティで「WHITE SCORPION」がデビュー曲「眼差しSniper」をお披露目している時、取材席の僕の後ろで泣いている女性がいました。と、これについてはこのサイトで前記しましたが、その涙の訳は推測でしか出来ません。恐らく最終オーディションに残った人たちだと思われますが、悔しさと仲間を応援したい気持ちなど色々入り混じった涙だったのでしょう。その涙は尊くもあります。そのメンバーの努力の結晶ですから。
最終オーディションでの涙のアピールをしたメンバーが、印象的でした。それが「タマ」でした。その熱い想いを聞いてみたいと思いました。インタビュー現場には、緊張しているように見えつつ、非常に凛とした姿で現れました。そして、終始口調は穏やかで、かつしっかりしているのが印象深かったです。それでいて時折見せる笑顔が「王道アイドル」でした(最後までお読みいただけるとこの言葉の意味が分かります)。
●「オーディションの時は控室から泣いていました」
――オーディションから取材させて頂いて、涙のマイクの写真もサイトに掲載したんですが、「WHITE SCORPION」になれなかったときの心境はいかがでした?
タマ 落ちた時は17人で結成するとは言われていなかったんです。あの時は、私自身これが受けられる最後のアイドルの大きなオーディションだろうなと思って受けていました。高校3年生で大学受験も控えていましたがオーディションに集中していました。
――今は大学生ですよね。
タマ はい。
――じゃあ、オーディションに集中しながらも大学に受かったってことですか。
タマ そうですね。
――頭が良いんですね?
タマ いえ、ハハハ。
――いつ頃からアイドルになろうと思ったのですか?
タマ 少学5、6年生です。姉が乃木坂さんが好きで、その影響で一緒に観るようになりました。小学6年生のときに事務所に入っていて、期間限定でユニットを組んでステージに立っていたこともありました。それまではモデルさんか女優さんになりたかったんですけど、そこでアイドルって良いなと思って目指し始めました。
――アイドルの良さはどこで感じられたでしょうか?
タマ ライブ映像を観ていると、ステージに立っているアイドルの方がとてもキラキラしていたんですね。そのキラキラした景色を見てみたかったのがあります。それと私はすごく負けず嫌いなんです(笑)。ライブを観に行ったときに感動させられたんですけれど、それがちょっと悔しいというか(苦笑)、自分が感動させる側になりたいと思ったっていうのもありました。
――その負けず嫌いが、上手く回転したのですね。オーディションの時の最後のアピールで涙をこぼされていました。
タマ 周りの子が控室で歌ったり踊ったりしていたんです。でも、私は秀でているものがないなと思っていました。
――いえいえ、ありますよ!
タマ フフフ。有難うございます。なので、自分はお話しをしようと思ったのですけど、それだとインパクトが薄いかなとか感じていました。最後のアピールの場で、全部が決まる訳ではないけど、プレッシャーと緊張でワッと来ましたね。
――なるほど。止められなかったんですね。
タマ はい。実は控室にいる時から緊張で泣いていて(笑)。
――そうなりますよね。あの待っている時はキツいですよね。
タマ そうなんですよ。そのまま、ステージに上がってという感じでした。
――「FINALIST」というユニットが出来るかも、というのはいつ頃聞かされたんでしょう?
タマ オーディションの結果発表が終わったあと、17人が控室に集められて、そこで事務所に残りませんかっていうのを聞きました。
――その時の感想はどうでした?
タマ デビュー出来るかも分からないという感じでしたし、もし他のオーディションがあった場合そっちを受けられなくなるから、どうしようかなって迷っていました。
――すぐ「わかりました!」って感じではなく。
タマ そうですね。
――17人のなかで「どうしよう?」みたいな相談はあったのですか?
タマ 相談はしました。社会人の子もいたので、お仕事を辞めるってなるとどうしようっていうのは話していました。
――タマさんは大学に行くという選択とアイドルになるという選択と二つあったといことなんですかね?
タマ というか「アイドルを目指してもいいけど大学だけは絶対出てね」っていうのが親の意向だったので。
――なるほど、しっかりしています。素晴らしいです。
タマ 私はもうアイドルの道に進んでいるから、大学に行っても自分の力になる訳でもないから行きたくないという話になったんですけど、「でもこの先、何があるかわからないから行っておいて」と言われました。
――このIDOL3.0 PROJECTはアイドルのセカンドキャリアをフォローしてくれる元AKB48の島田晴香さんの会社も提携していますから、その点は普通のアイドルと違いますものね。大学では何を専攻しているんですか?
タマ 保育です。
――お子さんがお好きなんですね?
タマ 興味ないことを4年間学ぶのは苦痛だなと思って、小さい子が好きなので、じゃあ保育に行こうかなと思ったんですけど、意外と授業のコマ数が多くて大変です(笑)。
――1~2年は特に大変ですよね。
タマ そうなんです。ちゃんと単位取らないと実習にも行けなくなっちゃうので。
●「バラエティ枠って言われています(笑)」
――「WHITE SCORPION」の皆さんとコミュニケーション取られたりはしてるんですか?
タマ めちゃめちゃ仲いいと思います!(笑)
――そうですよね。一緒に頑張ってきたんですもんね。
タマ どちらかというと「WHITE SCORPION」と「FINALIST」になってから仲良くなった子のほうが多いかもしれないです。
――アイドルになってからいろんな共通の話が出来るからってことですかね。
タマ そうですね。
――誰と一番よく話しますか?
タマ ACEですかね。
――あ、ACEさん。こないだお台場(「お台場冒険王」)のステージで頑張っていましたね! ああいったバラエティもやると思うんですけど、どうですか?
タマ まー……イケるかな(笑)。はい、大丈夫だと思います! SHOWROOMでもファンの人に「バラエティ枠」って言われていますし(笑)。
――え? そうなんですか?
タマ はい。褒められているのか褒められてないのかわかんないですけど、ハハハ(笑)。
――褒められていると思います! 個性がないと、このアイドル戦国時代、きついですから。ということはSHOWROOMでは何か一発芸とかやられているんですか?
タマ 何もやってないんです(笑)。私は別に狙ってるわけではなく。
――心当たりがあるところはありますか?
タマ 私もわからないんですよー(笑)。
――モノマネやってるわけでもなく。
タマ はい、全然やってないです、ハハハ。
――普通にしゃべっているだけで。
タマ はい。
――何で、ですかね(苦笑)。
タマ 私は王道アイドルでいきたかったんですけど、いつからか道を逸れていたみたいです、フフフ(笑)。
――いやいや、まだでしょ。その判断は。
タマ ハハハ。まだですか。大丈夫ですか(笑)。
――いや僕は王道アイドルだなと思っていますけど。ところで髪の毛切りましたよね。
タマ はい、切りました。
――心境の変化ですか?
タマ 「FINALIST」って髪の毛が長い子が多いんですよ。短くしたほうが「あのボブの子は誰だろう?」ってなると思って切りました。