「ラーメン二郎」の貼り紙は何が問題だったのか
人気ラーメン店チェーン「ラーメン二郎」府中店が来客に対し張り紙は同店の公式SNSでの投稿を通じて公表されたもので、「最近、極端にゆっくり食べている方が増えまして、ロット乱れたりお店としても困っています。お食事は『最大』で20分以内にお願いします」と説明されている。と言う事がネット上で議論を呼んでいる。
この対応について、一定の理解を示す声がある一方で、複数の問題点も指摘されている。
■問題点1:プレッシャーを与える可能性
まず指摘されているのは、「20分以内」という時間制限が客に強いプレッシャーを与える可能性だ。とくにラーメン二郎のボリュームは一般的なラーメン店とは比べ物にならず、「完食」そのものが挑戦に近い量である。初めて来店した客や少食な人、体調が万全でない人にとっては、「時間内に食べきらなければ迷惑になる」という空気が心理的な負担になる。
■問題点2:誰のためのラーメンか
「ロット管理」という厨房側の都合を重視するあまり、顧客の食事の自由や楽しみを犠牲にしているのではないかという批判もある。飲食店は本来、顧客がリラックスして食事を楽しむ場であるべきという考えに立てば、「20分以内で」という制限は、サービス業としてのあり方を問い直すものとも言える。
■問題点3:線引きの曖昧さと対応の硬直性
また、「20分以内」という基準の明確な運用が困難であるという指摘もある。時計で測って注意するのか、警告を与えるのか、実際に退店を求めるのか、といった点が不明確なため、店側と客の間でトラブルに発展する可能性も否定できない。
■一方で、店側の事情も
とはいえ、ラーメン二郎はその独自の「ロット」文化(数名分をまとめて一括調理・提供する方式)で知られ、調理や提供の効率性を維持するためには客の回転率も重要な要素となる。長時間かけて食べる客がいると、後続の客への提供が遅れる、席が空かないといった支障が出るのも事実だ。
■“ラーメン二郎”という文化のジレンマ
今回の「20分ルール」は、ラーメン二郎というユニークな文化と、飲食サービスとしての在り方の狭間で揺れる店側の葛藤を映し出しているとも言える。大量のラーメンを素早く食べるという独特のスタイルに馴染みがある常連客にとっては自然でも、初めて訪れる客や一般の食事感覚を持つ人にとっては驚きや困惑をもたらす内容だ。
店舗運営の効率と、客一人ひとりの食体験。そのバランスをどう取るのかが、今後の「二郎系」ラーメン店にとって重要な課題となりそうだ。(文@編集部)