高橋まこと降臨で会場”BOØWY化”!黒崎ジョン熱唱、福井祥史絶叫…「スパイスミーティング vol5」大熱狂

強烈な印象を残した高橋まこと

東京咖喱喰部が主催した「スパイスミーティング vol.5」が、強烈な余韻を残した。カレーとロック――異色の取り合わせに見えて、その実態は濃密だった。会場で沸騰していたのは、単なる企画モノの楽しさではない。日本ロック史、ヴィジュアル系史の系譜、その“継承の瞬間”が、目の前で起きていたのだ。

東京咖喱喰部とはSOPHIA のギタリスト豊田和貴(ジル)✖作曲家の黒崎ジョンの2人により発足し、有名ミュージシャン、有名カレーシェフ等180名以上(2026年3月時点)が所属する関東No,1のカレーコミュニティ)。美味しいカレーとロックを満喫できる人気のイベントは注目されている。

メンバー4人合わせると年間1000食を超えるカレーを食べているカレー好きバンドCINNAMON’S GODでステージはスタート。
その後、Special Band 2、Special Band 1、さらにセッションへとなだれ込む構成。だが、この流れが見事だった。出演順ではなく、世代と美学のバトンリレー。ロックの遺伝子が、目の前で受け渡されていく一夜となった。

まず会場の空気を一変させたのがSpecial Band 2だ。CINNAMON’S GODとして演奏を終えた面々が、わずか15分でヘアメイクと衣装をチェンジ。別人格のような姿で再登場し、BOØWY、STRAWBERRY FIELDS、SOPHIA、Luis-Maryの系譜を横断する楽曲をたたみかけた。

「MASQUERADE」
「ベイビーアクション」
山下善次による「Rainy Blue」
そして「Believe」「GLORIA」――。
この選曲が実に熱い。時代も色も違うナンバーが並ぶのに、まったく散らからない。むしろ一本の線でつながっていく。日本のロックとヴィジュアル系が歩んできた時間が、そのまま濃縮還元されていた。
中でも圧巻は「MASQUERADE」だ。STRAWBERRY FIELDSの名曲を、同バンドのヴォーカル・福井祥史が“最も好きなヴォーカリスト”と語る黒崎ジョンが歌う。これがただのカバーで終わるはずがない。憧れと敬意、その両方を抱えた歌声が、原曲の血をたしかに今へ運んでいた。
MCでは黒崎ジョンが「メンバーが入れ替わっているかもしれない」「ジルに見えるけど中身は布袋かもしれない」と場内を沸かせたが、この冗談が実に象徴的だった。ここで鳴っていたのは、単なるテクニックではない。身体に刻まれたスタイル、時代を越えて残る美学、そのものだった。
そして後半戦、会場の熱を決定的に爆発させたのがSpecial Band 1だ。
何といっても中心にいたのは、ex.BOØWYのドラマー・高橋まこと。さらにフロントにはVINYLの福井祥史。この顔合わせだけで事件級だが、実際に音が鳴ると、その破壊力は想像以上だった。
高橋のドラムが一発入った瞬間、会場の空気が変わった。まさに“BOØWYの呼吸”がそこに立ち上がる。観客はカバーを聴いているのではない。あのビートの中へ、そのまま引きずり込まれていく感覚だった。

披露されたのは、
「B・BLUE」
「MARIONETTE」
「HONKY TONKY CRAZY」
「BAD FEELING」
「NO. NEW YORK」
「ON MY BEAT」
「DREAMIN’」。

まさに鉄壁のセットリスト。しかし、ここで鳴っていたのは懐メロではない。過去の名曲を丁寧になぞるのではなく、“今のロック”として再点火する演奏だった。再現ではなく更新。その生々しさが、この日のライブを特別なものにしていた。

終盤、福井祥史は観客に向けてこう呼びかけた。
「うろ覚えでもいい。鼻歌でもいい。歌いたいように歌って、声を出したいように出していこうぜ。それが一番楽しいからさ」
この言葉がまた胸を打つ。正確さより熱量。完成度より体感。ロックの本質を、これ以上ないほどシンプルに言い当てた名MCだった。
さらに福井は
「“パクる”って言うとちょっと言葉が悪いけど、かっこいいものは“これだ”と思ったら、みんなが受け継いでいけばいい」
とも語った。
まさに核心だ。BOØWYの衝撃を受けた者がいて、その影響の先でまた新たな音が生まれる。その連鎖がロックを前へ進めてきた。この夜は、その事実をライブそのもので証明していた。
さらに場内を沸かせたのが、黒崎ジョンの“発表があります……”の一言。何かと思えば、早くも「スパイスミーティング vol.6」の開催決定!日程は10月25日、会場は荻窪TOP BEAT CLUBだという。
「次は違う場所でもやってみたい」
この言葉通り、「スパイスミーティング」は閉じた同窓会ではない。継承しながら、場所を変え、形を変え、さらに広がっていく。ここに、このイベントの未来がある。
最後は観客を交えた記念撮影。ステージとフロアの境界が消え、この夜の体験は出演者だけのものでも、観客だけのものでもない“みんなの記憶”として刻まれた。

出演者コメントも熱い。
山下善次は
憧れの先輩の前で先輩の曲をやるっていうのが凄く緊張したのと、凄く楽しかったです。変な汗でましたねw」
と振り返りつつ、
「秋ぐらいにスパイスミーティングを開催する予定みたいなので、その時にまたあっと驚く曲をやりたいと思います♪」
と次回への意欲を見せた。
高橋まことは
「シナモンズゴットの皆んなとボウイ演奏出来て楽しかったです♪カレーイベントも盛り上がりまた次回のイベントも盛り上げたいと思います」
とレジェンドらしく簡潔にコメント。短い言葉の中に、確かな手応えがにじむ。
コウキも
「大先輩たちに混ざってあんなに楽しい演奏ができて、光栄でした!」
と充実の表情。さらに5月9日の名古屋でVINYLとの対バンを控えていることも明かした。
ジルは
「少年の夢が叶った最高なライブでした。感謝しか無いです! 一生青春したい!!」
と全開コメント。この真っすぐさが、逆にこの夜の幸福感を何より雄弁に物語っていた。
SEISHIROは
「リアルBOØWYビートを体感出来て嬉しかったです」
と興奮気味に振り返り、福井との共演、さらに今後のVINYLのライブへの期待も口にした。
そして福井祥史の言葉が、この夜の本質を締めくくる。高橋まことのドラムは、音を合わせた瞬間から“若い頃に聴きまくったBOØWYそのもの”だったという。SEISHIRO、ジルともその感覚を共有し、本番では気持ちよさに溺れすぎないよう抑えるのが大変だった――この生々しい証言こそ、この夜の価値そのものだろう。
さらに福井は、このイベントを
「BOØWYの音に惹かれた人、その影響を受けて音を奏でた人、さらにその音に惹かれた人たちが、互いへのリスペクトを持って集まり、それを観客が楽しむ場」
と総括した。
まさにその通り。この夜にあったのは、世代を超えた敬意と興奮、礼儀と衝動。その両方だった。
なお、VINYLとCINNAMON’S GODは5月9日に名古屋でツーマンライブを開催。さらにVINYLはSTRAWBERRY FIELDSのギタリスト・LEZYNAをゲストに迎える。受け継がれた音が次にどんな化学反応を起こすのか、目が離せない。
カレーは確かに主役の一角だ。だが、この夜ばかりはスパイスの香りさえ、ロックの継承を祝う演出のように思えた。
ロックはまだ終わっていない。
そう断言していい夜だった。