【2018年幕開け】メジャー・アイドルグループの解散・脱退はなぜ続くのか 〜ももクロ、GEM、アイドルネッサンス〜

8人組女性アイドルグループ「アイドルネッサンス」が2月24日をもって解散することを発表しました。結成から3年8カ月、メジャーデビューも果たさずしての解散は、アイドル界にとって大きなショックとなりました。

ソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)初のアイドルグループとして誕生したアイドルネッサンス。「名曲ルネッサンス」をテーマに、過去の名曲たちを独自の解釈で表現するという、これまでにないコンセプトの稀有なアイドルグループでした。メンバーの卒業や追加を経て、2016年にはオリジナル曲にも挑戦、新たなフェーズへ向かって動き始めていた矢先での解散は、あまりにも唐突なものでした。

今回の解散にあたり、アイドルネッサンス運営チームの照井紀臣氏は、「メンバーの頑張り、やる気、情熱、制作スタッフ並びにレーベルスタッフの尽力があったにも関わらず、それらを活かして状況を大きく打開し、ブレイクスルーさせることが出来ませんでした。その結果、アイドルネッサンスのチームは解体することになりました」とコメントしています。つまりは、”ブレイクできなかったから”、もっと直接的な表現を使うならば”売れなかったから”解散する、ということなのだと思います。

「絶対に売れる」という確信があったはず

真っ白な衣装を着て、黒髪で化粧っ気もないアイドルネッサンスのメンバーたちは、まさに絵に描いたような清純な少女そのものです。どこか身近に感じられるのだけど、あまりにも清純すぎて現実味が失われてしまうという、なんとも複雑な魅力を持った存在。それは、特定の時代性を反映したアイドルではなく、普遍的な清純さを追求したアイドルだといえるでしょう。

そんな永遠のピュアネスを体現するアイドルネッサンスが古今の名曲を歌うのだから、本当に幅広い層のリスナーに愛される可能性があったはずです。だって、普遍的な魅力を持つ少女たちが、あらゆる時代の名曲を歌ってくれるのですから、誰だってセンチメンタルな心を刺激されるはずなんです。

そういう意味でコンセプトはかなり強固なものだったように感じます。運営としても”絶対に多くの人々に愛される””絶対にブレイクできる”という確信があったのかもしれない。だからこそ、なかなか結果が出ない現状に絶望してしまったのでは──そんな想像すらしてしまいます。

でも、メンバー全員が大人への階段を登りきる前に解散を迎えられるということは、ある意味で強固なコンセプト通りだったのかもしれません。少女の儚さを「解散」で表現することとなったアイドルネッサンス。あまりにも美しくて、哀しい解散です。

激しい弱肉強食の世界であるアイドル業界

現実的な話をすれば、SMAのような大手芸能事務所に所属するアイドルの場合、メンバーたちの自己表現のために活動しているのではなく、あくまでもビジネスとして動いているわけです。だから、採算が取れない、あるいは、将来性がないと判断されたのなら、解散という形になってしまうのも仕方ないことでしょう。

エイベックスのアイドルプロジェクト・iDOL StreetのGEMだってそうです。メンバー2人の契約違反が発端だったとはいえ、大きな利益が出ているグループだったら、簡単に解散なんて判断にはならないのですから。

アイドル戦国時代と呼ばれ始めたころから7年ほど経ち、ブームは落ち着いた現在。”ブレイクスルー”できるグループはおそらく1年に1組くらい(2017年であればBiSHとか)だけど、グループの数は相変わらず多く、過酷な淘汰が行われるわけです。そんななか、アイドルネッサンスやGEMのようにいろいろな事情で解散するグループは増えていくことでしょう。アイドルファンにとっては、つらい時期が続きます。

身も蓋もない話かもしれませんが、結局のところ、本当に解散してほしくないのであれば、売れてもらうしかないのです。そのためにファンができることといえば、しっかり応援することくらいです。

アイドルネッサンスの妹分グループのAISは解散しないと明言しています。2000年以降のアイドルソングをカバーするというコンセプトは、アイドルネッサンスとは必ずしも一致するわけではないですが、その精神を引き継いでいることは間違いない。だから、アイドルネッサンスの解散を寂しく思うのであれば、AISのことをもっともっと応援するべきなのだろうと思います。

話はちょっとそれますが、こぶしファクトリーだって、そう。昨年メンバー3人が離脱しましたが、解散せずに笑顔で頑張っています。グループを存続すると力強く決断した現在のこぶしファクトリーが好きならば、もっともっと応援するしかありません。

解散を嘆くくらいなら、CDを買って、現場に行って存分に楽しむ。それがアイドルファンの正しい姿なのです。ツイッターで文句を書くより、ライブに行ったほうが幸せになれるはず。さあ、今すぐ現場に行きましょう! 

文◎大塚ナギサ