不祥事頻発の吉本興業とは対照的に、いま最も芸能界で勢いがある「老舗タレント事務所」とは?

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 暴行、強姦、当て逃げ、飲酒運転など、吉本興業所属の芸人による不祥事は後を絶ちません。最近は落ち着いたかなと思えば、また次の不祥事。しかし社会を震撼させる問題を起こしても、見事芸人として復活できる例は多くあります。
 どこに所属しているのかで自分の仕事や立場が左右する、それが芸能事務所というところ。明石家さんまにダウンタウン、ナインティナインなど、バラエティ番組には決して欠かせないお笑い芸人が多数所属する吉本興業はかつて、絶対無敵の超大手事務所と恐れられていました。
 しかし相次ぐ不祥事と、視聴者の深刻なテレビ離れが相まって、そのパワーバランスが乱れてきていると言われています。バラエティ番組に詳しいプロデューサーに話を聞いてみました。

「長らく吉本なくして番組は作れないとまで言われてましたが、ここ5〜6年は非・吉本勢の快進撃がとにかく凄い。正確にいえば、島田紳助さんの芸能界引退を機に風向きが大きく変わったと思います。腕はあるのになかなか上がってこれなかった爆笑問題やくりいむしちゅー、ネプチューンはその隙に確固たる地位を築くことに成功しました。さらに有吉弘行、バナナマン設楽のバラエティ番組のMCジャックに、若手だとカミナリやANZEN漫才のみやぞんなど、吉本が一歩出遅れた形になっているのが見て取れます」

 たしかに視聴者目線でみても、以前のような勢いは吉本にはありません。同じく上方漫才を支える松竹を見習ってか、映画製作や配給業にも力を注いでますが、こちらもあまりパッとしません。最近だと将来的に五輪競技になるかもしれないと世界中で騒がれているeスポーツ事業に本格参入することが報じられましたが、果たしてここ日本でeスポーツが定着するかは、長いスパンでみないと判断はできません。

 そんな混沌とする中で、虎視眈々と吉本完全潰しを目論んでる事務所があります。それは昔、帝国とまで呼ばれていたワタナベ・エンターテインメントです。
 テレビの創生期を支えた大きな事務所で、多くのグループ会社を抱えており、今尚、芸能界に影響を及ぼしています。
 平野ノラ、ブルゾンちえみ、サンシャイン池崎などのピン芸人が現在のナベプロの強みで、どこも現状ひれ伏した状態。芸歴の浅ささは裏を返せば今のニーズにマッチしてて安価で請け負ってくれる上、事務所としても短期集中で一気に稼ぐにはもってこいの人材、悪くいえば使い捨てが利ききます。

 バラエティのベテラン放送作家もこう分析します。

「イモトアヤコのような大化けするタレントもたまには出てきて、ナベプロは今一番勢いがあるといって間違いない。吉本は数で勝負だけどナベプロ
は質重視、芸人として使えるか使えないかの見極めも上手なので、各局への売り込み方が非常に鮮やか」

 現在は渡辺ミキさんが社長で会長職にご主人の吉田正樹さんが就いているのも、鉄壁という感じがします。吉田さんといえば東大法学部からフジテレビに入社し、その後フリーになるまでの26年間でバラエティの礎を築いた大物。太いパイプもあちらこちらに持っていますから、向かうところ敵なしなのではないでしょうか。

 弱りつつある吉本に最後のトドメを刺すには条件が揃いすぎていると言わざるを得ません。ちなみにナベプロが現在、最も推している芸人が誰なのか前出の放送作家に聞いてみました。

「みなさんもお気づきかと思いますが、過剰擁護とよいしょ記事が目立つ、ブルゾンちえみ。アクの強い芸風から息の長い女優へとシフトすべく、手を尽くしてるようです。
彼女はアドリブがきかないのと、人気もさほどなく身内だけが盛り上がってる感じがにじみ出ているので、関係者の間では年内に消えるだろうと言われてます」

 ゴリ押しの王道を行く、ブルゾンちえみ。生き残ることはできるのだろうか?(取材・文◎中川健二)