こんなことって、ある!?
ごく狭い範囲だけに毎日雨が降る。そんな奇妙な現象がタイ南部の農村で起きて騒ぎになっています。
タイ南部パッタルン県のジャングルと田園風景に囲まれた何の変哲もない集落でその奇怪な現象は起きています。とある民家裏のたった5メートル四方の狭い範囲で雨が3月3日から連日降っているのです。昼夜関係なく時には霧状になったりしながら降り、地面は常に濡れた状態です。
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この世にも珍しい現象に周囲の村からも大勢の人達が見物に押し寄せています。イタズラではないか、いや、木の葉から落ちた露ではないかと様々な憶測が飛び交いましたが、集落の人がいくら原因を探ってもよく分かりません。
そのうちにご利益のある水に違いないとバケツや器を並べて水を集める人が続出しました。この水で体や髪を洗う人も現れます。そんな中、86歳の寝たきりの老婆に孫が試しに飲ませてみたのです。スプーン3杯分を飲ませたところ、ものの数時間で起き上り座れるようになりました。
この噂はすぐに広まり、病を治す魔法の水だとして飲む人が一気に増えたのです。7日には郡長が保健所職員らと共に現地を視察してこの水のサンプルを採取しました。その際に汚染物質が含まれているかもしれないので飲用しないように注意をしたのですが、聞く耳を持つ人はあまりいなかったようです。それが8日になって驚愕の正体が判明しました。
寝たきりの老婆を起き上らせた魔法の水、それはなんと...!
セミの小便でした。
雨が降るポイント付近に立つ木のてっぺんを目がけて600ミリの望遠レンズを装着したカメラを向けたところ、小便を一斉に撒き散らす無数のセミの姿が写し出されたのです。
その後判明した保健所の検査結果も「セミの小便」。
その結果を聞いた集落の人々は、なんとそれでも魔法の水だと信じることをやめず、セミの小便が降ってくる木を神木として線香を焚いて祀る事態に。
一風変わった飲尿療法だと思えばいいのかもしれません。信じる人にとってはまさに聖水ということですが、体を壊さないように遠くから願うばかりです。(取材・文◎赤熊賢)