バーでの慶子。写真・編集部
ミリオン出版発行「昭和の謎99」という雑誌に「あげまん慶子」について寄稿しました。その「あげまん慶子」とは一体何だったのか―ー。
僕があげまん慶子の噂を聞いたのは「アクションカメラ」(ワニマガジン社)の編集だったころなのでかれこれ20年近くになります。
その噂とは、
「新潟で自ら『あげまん』と名乗っている女性いる」「新潟の繁華街で有名」「慶子は中年女性で手書きのビラに『あげまん、名器』という謳い文句に電話番号を載せている」「自転車でそのビラを『はい、あげまーん。あげまんでーす』と言いながら配っている」「男子トイレや公衆電話にもビラを貼ったり、マジックでビラと同じ文言を書いている」
という女性です。僕が電話をかけたら「はい。あげまんでーす」とハスキーボイスで出てきました。ちなみに、容姿は女優のもたいまさこと光浦靖子を足して2で割った感じです。
慶子が実際に配っていた手製のチラシ。写真・編集部
電話口で「で、いくらあんの? あたしは色々な男をあげてきた。田中角栄(説明不要の新潟出身の総理大臣)もだよ」と言います。年代的に合っていないんだけどという言葉は飲み込んで、僕は「10,000円しかもっていない」と言うと「10,000円じゃ、占いだけだね」との事。何とかインタビューを試みたのですが、最近は「東京から取材とか入っていて忙しい」のだそうです。
因みに、これは2年後くらいに2回目に新潟に行って電話で話を聞いたときのコメント。V&Rでその前後、ビデオを録っていたので「東京から取材」というのはその事かと思われます。
あげまん慶子に取材を試みた2回目は。難航を極めました。慶子(以下敬称略)が新潟都心部からいなくなってしまっていたのです。繁華街のキャッチに聞いても「そう言えば見ないな」と言います。公衆電話に書いてあった慶子の電話番号も薄れてしまっていて、慶子の存在感を象徴しているようでした。どうやら警察に目をつけられてしまったそうです。
幸いにも、というか本当に偶然入ったバーが慶子のいきつけで、マスターが慶子の写真と電話番号を教えてくれたのでした。バーで聞いた話は「慶子は決して変な女性ではないですよ。いい奴です」というのが大変印象に残っています。ここのバーのマスターは人間とちゃんと向き合う人なんだなと、今でも感慨深いものがあります。
そして慶子がなぜこのような行動をとるのかも取材しました。それは、大変哀しい話でした。不幸な話でした。慶子は自分には神が宿っている、もしくは神聖な力がある。だから私とやれば運が上がる。みんなを幸せにしたいと思っていて、これは多分本気なんだなと、その不幸なエピソードを聞いて感じました。
『実話ナックルズ』の編集長になってから、しばらく、新入社員が入ってくる度に慶子のところに行かせて取材を試みました。「運気が上がって編集長になれるよ」と言いくるめて。何人かが、接触に成功しました。僕には出来なかったので彼らスタッフには密かにリスペクトしています。
慶子に取材したエピソードを『ダークサイドJAPAN』という雑誌に掲載したのですが、それを読んだルポライター朝倉喬司氏に褒められたのは、本当にうれしかったです。人を絶対差別しないルポライターだったからです。そのような目線で僕も慶子に接する事が出来たのかな、と安心したのを覚えています。そういう意味では慶子には感謝すらしているのです。新潟の生きる都市伝説。(久田将義)

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