インバウンド需要、再開発による若者の流入......急激に変化する新宿・歌舞伎町であるが、ごく最近、新たなる"変化"が見られた。それは、歌舞伎町中心地での外国人売春婦の存在、俗な言葉で言えば"立ちんぼ"の出現である。
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厳密に言うと、出現ではなく復活というのが正しい。立ちんぼたちが現在営業している場所は、旧コマ劇場前広場から、歌舞伎花道に出る横道あたり。具体的には、経営トップが極右思想で知られていることで有名な某大手ホテルの横である。再開発以前、このホテルが建っている場所から歌舞伎花道を越えて大久保ホテル街方面(現コリアンタウン)に向かう道は、立ちんぼで溢れており、特に外国人立ちんぼが多いことで有名だった。
あのゴジラの足もとで...
1990年代あたりからこの事象は始まり、コロンビアなどの中南米系から始まって、その後タイ人、中国人と外国人立ちんぼの系譜は続く。しかし、1999年に石原慎太郎氏が知事になると、歌舞伎町の浄化作戦が開始される。なかでも、適法下にいない「外国人」への排斥は、これでもか! というくらい徹底して行われた。その過程で立ちんぼも、歌舞伎町の中心地である旧コマ前はもちろん、大久保病院横、職安通りを越えて大久保のホテル街に至るまで一掃されることになったのだ。
外国人たちんぼの危険性
ちなみに筆者は当時、外国人立ちんぼを頻繁に取材していたので、その隆盛やある種の危険性も体感として覚えている。立ちんぼの値段は、国籍によって異なり特に金髪のコロンビア人は2万円をこえる高額な相場だった。そこには、日本人男性の"金髪白人"への憧れが透けてみえ、苦笑したものだ(彼女たちのほとんどがブロンドに染め、イタリア人、あるいはスペイン人などと名乗っていた)。
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具体的な危険性では、彼女たちの「用心棒」だったイラン人マフィアの存在があった。実際、スマホカメラなどなかった四半世紀前に筆者は、小型カメラで彼女らを隠し撮りしようとして近くにいたイラン人マフィアふたりに見つかったことがある。鬼の形相で追っかけてくる彼らを、ホテル街の横道から横道へと全力で逃走したことはいまとなっては笑い話だが、その時は随分キモを冷やしたものだった。
そんな彼女たち、外国人立ちんぼが再び歌舞伎町中心にあらわれたのである。
もっとも、いまの段階では、2人、あるいは3人ほどが距離感を開けて立っているに過ぎない。また歌舞伎町交番が目と鼻の先にあるせいか、かつてのような「シャチョウサン(あるいはオニイサン)、アソバナイ?」という激しい誘いはなく、意味ありげに視線を送ってくるのみだ。
彼女らの商売再開が間もないため、その数や正確な国籍などは確定できないが、見た感じで言えば、アジア系でしかも、スタイルが良い女子が多い。もっとも、2022年には目の前に東急主導の大規模施設が完成するだけに、彼女たちの"復活"はあだ花となる可能性もある。引き続き、定点観測を続けていきたい。(取材・文◎鈴木光司)