アンジュルムの和田彩花がラストとなるアルバム『輪廻転生』がすごい! 前代未聞の3枚組が発売開始
和田彩花は、個性豊かでワチャワチャしているメンバーたちを「動物園みたい」だなんて自虐的に形容しますが、このアルバム(特にDisc1)に収録されている楽曲も、それぞれが個性的だという意味で、まさに動物園みたいです。
「赤いイヤホン」のようなクールなダンスナンバーもあるし、「フラグをぶっ壊せ!」のようなリフ一発で押し通すカラッとしたロックもある。星部ショウ作曲の「いとし いとしと Say My Heart」はジャミロクワイ風なスペーシーディスコソングだし、中島卓偉による「もう一歩」は変態性強めの赤羽橋ファンクだし、つんく♂作詞作曲の「帰りたくないな。」は切なさあふれるエヴァーグリーンなトロピカルハウス風だし、SHOCK EYE作の「夏将軍」はプログレのようなドラマティックな展開のアゲアゲタオル曲だし……と、まるで音楽のダイバーシティー。それは、多様なメンバーを抱えるアンジュルムそのものを象徴していると言えるでしょう。
そして、これらの楽曲に共通するのは、ちゃんと“格好いい”ということ。おちゃらけてみたり、幼い感じを出してみたりすることなく、しっかり真正面から“格好いい”に取り組んでいるのです。
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歌やダンスの上手さがそのままアイドルの魅力につながるわけではない、むしろ下手なくらいのほうが魅力的──たしかにそういう意見もありますし、それは間違いではないでしょう。楽曲にしたって、“アイドルらしい”ものが人気で、なおかつそこに“ユルさ”のようなものを求める人も多い。
しかし、アンジュルムのアルバム『輪廻転生~ANGERME Past, Present & Future~』には、そういった“あえてのユルさ”で保険をかけるなんてことは、一切ありません。メンバーだけでなく、楽曲制作陣を含めてのことですが、とにかく本気で格好いい音楽を追求して、本当にそういう音楽になっている。ユルさとかけ離れた緊張感に満ち満ちていて、全部聞くのがしんどくなるくらいです。
それこそ、ただ単に“アイドルっぽくない楽曲”にチャレンジするだけならば、これまでのアイドルがあまりやっていないようなジャンルの楽曲を作ればいいだけなので、そう難しいことではないはず。でも、そういった小手先のテクニックではなく、さまざまな音楽性の楽曲を通して、アンジュルムの魅力を格好よく伝えようという明確なビジョンがあり、それを具現化したのが『輪廻転生~ANGERME Past, Present & Future~』。それは、アイディア勝負の産物ではなく、地道な努力と、確実なテクニックをもって作り上げたプロフェッショナルな作品なのです。