能町みね子×吉田豪 対談『ヘイトとフェイクニュース』を語る|第一回 「あなたの正義」を疑え

――2ちゃんねるが出始めた頃からヘイトとフェイクはありました?

能町:ヘイトはひどかったです。フェイクもあったし。

吉田:「ネトウヨ」という言葉が生まれる前からネトウヨ的なものは存在していましたね。その流れで在日特権系のデマとかが生まれて。

能町:私も大学生ぐらいのときにそういうものに触れてるから、当時は「隠された真実」みたいに書かれたデマを信じかけていましたね。いろいろなものを読めばさすがに目が覚めますけど。

吉田:「マスコミが報道しない真実がある!」ってネットで信じちゃった人って、その瞬間にマスコミが何を言っても通用しなくなるから恐ろしいんですよね。

能町:「マスコミは嘘を言ってる」ってことになると、情報源が存在する意味がなくなりますよね。

吉田:陰謀論が入っちゃうと何を言っても通用しないじゃないですか。「それも嘘だ!」「陰謀だ!」ってことになっちゃうから。

在特会系の集まり(写真◎編集部)

ーーフェイクでもいいから、自分の都合のいいニュースが欲しいってことですよ。

吉田:それはすごくあると思います。自分が正しいことやってるっていうピュアな気持ちがあればなんでもできちゃうんですよ。たとえば、いまの政権は正しいことをやってて、それを邪魔するヤツがいるっていう図式ができれば。その反対に、いまの政権が間違ったことばかりやっているけれど、その裏側には何かの陰謀があるはずだ的な図式も危なっかしいなとは思ってます。(次回に続きます。聞き手◎久田将義)

関連リンク:能町みね子×吉田豪 対談『ヘイトとフェイクニュース』を語る|第二回 「意識高いサロン系の人々について」 | TABLO