能町みね子×吉田豪 対談『ヘイトとフェイクニュース』を語る|第一回 「あなたの正義」を疑え
本サイトのキャッチフレーズは「人にやさしい」です。その「心」は反ヘイト、反フェイクです。
いつまで経ってもなくならない、ヘイト(差別発言)。本サイトはしつこく、そしてきっちりとそういった風潮に対峙していきます。しつこく対峙していきます。
今回は本サイト立ち上げからご協力いただいているコラムニスト・イラストレーター能町みね子さんとプロインタビュアー吉田豪さんに「ヘイトとフェイクの正体」について語って頂きました。(本サイト編集長・久田将義)
「あなたの正義」を疑え
能町みね子(以下能町):最近、怒ること自体がエンタメ化している気がしています。何でもいいから怒る対象が欲しい、っていう。対象がヘイトだったり、叩かれて当然のことだったとしても、その材料を叩くことそのものが楽しくなっちゃっている。
吉田豪(以下吉田):とりあえずスッキリしたいんでしょうね。それも自分の正義の心が発揮できる対象が欲しいってだけのことで、ヘイトとされるものにしても本当に悪意でやってる人ってごく一部で、基本はみんな正義の心でやってると思うんですよね。
能町:本気でそう思っているわけですもんね。
吉田:最初にわざと偏った感じで誘導しようとする人はいるけど、その後の人は基本、善意なんですよね。そこがむしろ怖い。
能町:「善意vs善意」なんですよね。
――「善意vs善意」だと落としどころがなくなるんですよ。
能町:そう。宗教戦争です。
吉田:最近ホント思うのは、人に自分の主張を伝えるためには、情報をある程度ゆがめてもいいぐらいの人が増えてきてて。本当に悪い人を駆逐するためには多少のフェイクは許されるはずだって感じの。
能町:そういう人、いますね。私自身、うっかりすると自分に都合のいいデマに乗りかねないから気をつけないと。
吉田:そこが最近の一番の問題点だと思うんですよ。果たしてあなたが叩いている人は本当に悪い人なのか? 「あなたの正義を疑いなよ」ってすごい思います。
――在特会が出てきて、明らかなヘイトが蔓延してきた。吉田くんや能町さんもそういう傾向に対して、「ちょっと待てよ」と言ってきましたが、それすらも指摘するのに疲れた、みたいなところはありませんか?
能町:ちょっとあります。私は最近Twitterでは少しおとなしいです。
吉田:単純に、「あ、この人はそういう人か」って判断できるようになりましたよね。言葉遣いなり拾うニュースとかで、だいぶジャンル分けできるというか。例えば「マスゴミ」って言葉を遣う人なんだな、とか。
能町:そうですね、言っても無駄な人だなってなっちゃう。文章に 「www」をたくさん使ってたり。すぐわかりますもんね(笑)。
ーーあと太いビックリマーク(笑)。
能町:絵文字の太いビックリマークを毎回使う人は、だいたい60代以上だと思ってます。
――アカヒ(朝日新聞の略)とかね。